後藤真希主演ミュージカル「さよならのLOVE SONG」(大阪厚生年金会館芸術ホール)

電車内でソニン表紙の京阪神「Lマガジン」という情報誌を読んでいたら、真横の女の子二人組の会話が聞こえてきて、どうやら片方の女の子は片想い中の人に会う機会があったのに、話も出来なかったらしく、もう一人の女の子にはっぱをかけられているところのようだった。今時、かわいい子じゃのう、と思っていたら、どうも話の流からして、その二人組は看護師さんのようなのである。ん? 淡くせつない片想い中の看護師? そりゃあ、あなた、私がこれから観にいく後藤真希主演ミュージカル「さよならのLOVE SONG」のシノプシスと一緒じゃん!
 とそんなわけで行ってまいりました。私が参戦したのは、28日の昼の部。29日で全公演が終了しているので、ネタバレ全快で感想めいたものを書き留めておこう。今回はなるべく先入観なしで観たかったので、東京公演が始まってから自分が参戦する28日までの期間、いつも巡回させてもらっている後藤系サイトや、ごまコンスレなどを見ないようにグッと我慢し、あれやこれや想像や心配をしつつ、待ちつづけた。もしもストーリーがずっこけていたとしても、ごっちんを輝かせることに成功しているかどうかちゃんと見てやろう。だてにアイドル映画見てきてるわけじゃないのだ。なんて。
 で、結果、もしこのミュージカルに点数をつけるとして、それが100点満点だとしたら、私は100点をつけたいと思う。いやあ、もう、なにもかも最高! 脚本も昨年同様に笑いあり、涙ありの物語を短い時間の中に実にうまくまとめている。賑やかな浮かれモードが突然シリアスに転調する際も、違和感なく見ることができた。もっとも、このあたりの展開には、本当はもう少し書き込みが必要だったのかもしれないけれど、とにかくごっちんの迫真の演技がそんな粗探しめいたことをさせない説得力に溢れているんである。ガラス越しの渡り廊下(?)で叫んで、他の看護士さんたちに取り押さえられているシーンなんて、ゆきの(ごっちんの役名)の悔しさとか、無念さとか、疑問とか怒りとかがビンビン伝わってきて、その魂の叫びに思わず涙ぐんでしまった。
 舞台装置も素晴らしい。ある一家の引越しの風景から始まって、→ディスコ→ナースステーションに舞台を変えるんだけど、これが実に巧みで粋。そのどの場面にもまだごっちんが登場していないにもかかわらず、芝居に引き込まれてしまっていた。
 しかも物語が描き出そうとする世界は実に真面目。一準看護師の正義感のからまわりになってしまう可能性もあるところを、最初はおちゃらけてるだけに見えた他の看護師たちが、皆、ちゃんとした理念のもとで、仕事をしていることもきっちり描いていて、婦長役の役者さんやミカを始め、基本のところで、凛としている姿が心地よかった。真面目に仕事する人たちへの敬愛の眼差し。この志の高さは評価に値すると思う。
 そんでもって、勝野洋さんにはすっかり笑わされた! こんなにのりのりの勝野さん、初めて見た。アイドルとおじさんの組み合わせというのは、’80年代角川アイドル映画の一つのパターンでもあるから、それを踏襲しているある意味王道の設定。ただし、勝野さんの勘違いっていうのがポイントで、大笑いさせられると同時に、そんな勝野さんの勘違いにとまどったり、まわりからからかわれているゆきの=ごっちんに目は釘付け! もうメチャクチャ可愛い!! おまけに制服姿で出てきた時にやぁ〜!・…(自粛)。
 楽曲も粒揃いといっていいだろう。3月17日にシングルとして発売される予定の「さよならのLOVE SONG」は、東京では泣きながら歌い上げていたらしいけれど、28日公演ではかなりしっかり歌えていた。非常に心地良い曲。C/Wになるらしい「DANCD DANCE DANCE」も秀逸!これ大好きだ。
 ごっちんのダンスの素晴らしさなどは、今更私が言及することもあるまい。昨年の「けんとメリーのメリケン粉オンステージ」に続いて、脚本を担当した樫田正剛氏が、前回、ごっちんに抱いたイメージが今回のゆきの像に多少なりとも投影されているのだろう。“素直”で“ひたむき”で“まっすぐ”。ラストはハッピーエンドでの「DANCE DANCE DANCE」。最高のひと時をありがとう!
(第二部)昨年のミュージカルは初めての生ごっちんというわけで、ハロプロ系LIVE初参加だった。観劇中はおとなしかった人が、二部のコンサートになって豹変する様に驚いたりもしたものだが、今じゃあ、声出しすぎてすっかり喉やられている自分がいたりして、人間ってかわるもんなんだね。最高の「スクランブル」も体感できたしね。