「映画バカ一代」と「ジャッピー!」

私が敬愛してやまないリトルマガジン2冊の待望の最新号が続けて刊行された。どちらも商業雑誌ではないけど、ミニコミ誌と呼ぶには、装丁も立派だし、ちゃんと書店にもおかれているので、こう呼ばせていただこうと思う。
 まずは「映画バカ一代」から。日本で一番遅い映画ベスト10で知られる本誌、今号も2002年のベスト10が発表されている(実は私も参加させてもらってます。感謝)。前ばかり見てる人、後ろを振り返るよいチャンスですよ!
今年のナンバー1は、邦画も洋画も「映画バカ一代」らしい選出になっていて、他の映画雑誌とは一味も二味も違っている。ちゃんと映画館で映画をみる人々が選んだ真のベストテンなのだ! しかもこの雑誌を読んでいると、笑いがとまらなくなるという、随所に笑いのツボにはまる面白文章が溢れているので、電車の中では読まないほうが懸命かもしれない。映画館で映画を観る人々の雑誌というだけあって、映画館についての記述も多く(「映画館日記2003」がどれも楽しい)、私など、このサイトで、映画は語れど、あまり映画館については語っていないので、これからは語ろうとしみじみ思った。例えば、昔、某就職情報誌の仕事で京都の朝日シネマに電話取材させてもらったことがあるのだが、その朝日シネマがもう閉館になってしまっていたことを本誌を読んで初めて知った。また、映画館日記を読んだ方は、是非愛知県で映画が観たいと思うことだろう。カラー表紙で112ページという立派なこの雑誌を内屋敷さんお一人で編集されているのであるから、本当にリスペクトです。巻末特集は映画バカ一代とシネマ・ロサプロデュースの「小嶺麗奈映画祭」の開催報告。小嶺麗奈さんというと、まず私は「イグアナの娘」を思い出すのだが(あの作品に出ていた人は皆好きなんですよ)、実をいうと、あまり映画作品は見てなくて、これを機会に観てみよう。と、前も言っていたような気がするが今度こそ本当に観よう。
続いて、「ジャッピー!」は、本号で19号目を迎える。地方小出版流通センター にて全国の書店に配本、積極的に発行を続けている映画雑誌だ。西島秀俊のインタビューが涙もの。西島氏は今、私が個人的に(若手の塚本高史瑛太を除いて)最も注目している映画俳優なのだ。「2/デュオ」も印象的だったが「tokyo.sora」の編集者役が忘れがたい。これまでは素顔がわかりにくい俳優さんだったのだが、とても好青年らしく真摯なかたのようでインタビューを読んでますます好きになってしまった。特集は、「19号目の神経衰弱」と題してホラー映画や、怖い映画について、の徹底した特集。黒沢清作品や、「呪怨」などで知られる作曲家のゲイリー芦屋氏、同じく黒沢監督作品や、「黄泉がえり」などで知られる照明技師金沢正夫氏のインタビューを始め、読み応えたっぷりのコラムがずらっと並ぶ。「恋する幼虫」主演の荒川良々インタビューもあり。実は、私も拙文を書かせてもらってます。感謝。
 映画愛に溢れた2冊なのです。
(連絡先)映画バカ一代 http://www.geocities.jp/bakatamo/
ジャッピー! http://hello.to/jappy/