「ニライカナイからの手紙」(完全ねたばれしてますので、まだ観てない方はご遠慮ください)

chori2005-06-10

作品自体たいしたことないだろう、ただ、先日みた「トップランナー」の蒼井優の映画愛に溢れる姿に敬意を払うためにということで行ってきました。予想どおり、前半のいかにもな泣かせシーンに、警戒感を持ってしまった私は、そもそもこの物語の軸になる設定に疑問を持たずにはいられませんでした。「死ぬまでにしたい10のこと」を観た人ならあのやり方があるではないか、人の死を、しかも母の死を、20の時より7歳の時の方が認め易いなどとはいいませんが、母の選択は正しかったのかと疑問をもたずにはいられません。作り手の方もそれをしっているのか、母の手紙を一つずつ読むシーンは、むやみと長く、その長回しで、こうした疑問点をうやむやにしようとしているかのようにも見えて、なんだか、す〜っと気持ちが冷めてしまうのでした。
しかし、この映画における蒼井優の素晴らしさはどうでしょう!「トップランナー」で、映画を観た人に自分が演じた役名で感想を言ってもらえるような女優になりたいといっていましたが、まさにここでの蒼井優は、主人公風希そのもので、彼女によって、映画の世界へ、強く引き込まれていくのを感じました。そうすると、ストーリーの疑問点なども二の次になり、沖縄で、東京で、彼女の暮らしを、息づかいを、かたずを飲んで見守る自分がいました。あまりにも素晴らしかったので、先日の「トップランナー」を書き起こすことにしました。彼女は、相米真二の最後の教え子だったのですね。