「トップランナー」蒼井優(NHK 5月22日(日) 19:00 / 5月26日(木) 24:00放映)書き起こし

山本太郎(以下山本):立て続けに出演映画が5本公開されるんですか?
蒼井優(以下蒼井):今年はそうですね。
山本:これね、その忙しさっていうのは、半端じゃなかったでしょう。
蒼井:いやでも意外と・・・私は撮影自体はこう、大抵一本撮って、2週間あいて次の作品にという感じで、そんなにすごく忙しいとか・・・あと、同じ時期に他の映画を撮る、2本とか、っていうふうなことはやっていないので、そんなに忙しい・・・
山本:2本同時に重なるってことはなかったんですか?
蒼井:私、できなくて。それが。
山本:じゃあ、マネージャーさん、大変ですね。ほんとならもう一本いれられるけど、そこを我慢して、
蒼井:そうですね。なるべくやらないようには(うなずく)。
本上まなみ(以下本上):いろんな役柄を演じてますよね。役に入る時って、そういう役にあうようなことをしたりするんですか?
蒼井:う〜ん、「花とアリス」って作品だったら、バレエを踊るシーンがあったので、その稽古に行ったりだとかは、あったんですけど、そういう技術的なものが必要であれば、お稽古に行って、あとは、酔っ払うシーンがあったりするとわからないから、居酒屋さん、みたいなとこに行って、観察したりとか(笑)
山本:一杯良い例が転がってたでしょ?
蒼井:面白かったです。だいたい人のことをこうやって(指)さす人が多くて、そういうのを盗ませていただいたりとか、しますけど。あとは、ひたすら台本を読んで、現場に入るっていう、でもあんまり役作りというのはしていかずに、台詞を頭に入れて、あとは監督とお話しさせていただいて、どういう方向に持っていくか、とか、あとは、現場の雰囲気でだいたい出来上がっていきます。
山本:台詞だけ出来るだけ頭の中に入れて、動きとか、そういう内面的なことを現場でやる、アドリブに近い感じですね。
蒼井:そ〜ですね〜・・・・・・アドリブとかされます?
山本:好きですね〜。あ、どうですか?アドリブ?
蒼井:全然出来なくて、あたし。
本上:じゃあ、共演の方とか、逆にそういうのが凄く好きで、上手な方だと、どうするんですか?
蒼井:なんか、微妙な応えしか、(笑) 返しが微妙な、だから、結局使われなかったりとか、共倒れみたいな(笑)
山本:共倒れ、これ一番悲惨ですね〜(笑)
蒼井:(笑)
山本:やりやすい役、やりにくい役とかありますか?
蒼井:最近は全部難しいなあと思うんですけど、最初は大人しい役の方が楽と思ってました。しゃべらずに、なにか内に秘めてるっていうような役の方が、やりやすいな〜とは思ってましたけど、最近は何やっても自分の出来なさにがっかりしてしまうことが多くて、
【HISOTORY】
(ナレーション):1985年8月17日福岡県生まれ。小さい頃はクラシックバレーやピアノなど習い事に忙しく、映像やテレビに接する機会はほとんどありませんでした。女優の道を歩むきっかけになったのは、小学3年生の時、地元福岡で観たミュージカル「アニー」。早速オーディションに挑戦した蒼井さん、漸く合格できたのは中学一年生の時でした。
山本:子供のころから映画とか芸能界に興味あったんですか?
蒼井:それがまったくなくて、「ドラえもん」しかテレビも映画も観てなかったです。
山本:「ドラえもん」しか観てなかった! かたよったテレビ環境ですね〜。
本上:(笑)
蒼井:あとは、ニュースとか。だからほんとお芝居というものを、まあ「ドラえもん」もお芝居ですけど、
山本:(笑)
蒼井:生身の人間がやってるのはみてなくて、だから本当に全く自分がこの世界に入るとは思ってなくて、で、芸能界って、東京都のことだと思ってたんですよね。すごくかたよってるんですけど(笑)
本上:(笑)東京都?
蒼井:東京都民=芸能人みたいな。
山本:東京都に住んでる人はみんな芸能人だよ〜みたいな、
蒼井:で、東京都の中でもすぐれた人が、そういう主役なんかやってるんだな〜と思って(笑)、
山本:狼に育てられた少女じゃないですよね(笑)
蒼井:ほんとに全く関係ないと思ってたので(笑)
山本:よくここまできましたね〜。
蒼井:いや、ほんとそーなんですよね。
山本:よくこの椅子までたどり着けましたね。
蒼井:ほんとですね。すごくへんな感じがします。
本上:東京都の(笑)
蒼井:はい(笑)
(ナレーション)「アニー」出演のためだけに上京したつもりだった蒼井さん。しかし、芸能事務所に所属したのをきっかけにドラマ、CMなど様々なオーディションを受けることになります。
山本:オーディション、何回ぐらい受けました?
蒼井:何十回だろう?4,50回? 4,50回落とされました。
山本:例えば、そんなとこにいて、どんなこと求められるんですか?
蒼井:いろいろありましたよ。言われてショックだったのは、声がでかいと言われたんです。
山本:今、小さいですよ。
蒼井:(笑)今はどこの現場に行っても、録音部さんから声が小さい、声が小さいって怒られるんですけど、その当時はすっごい声が大きくて、
本上:え、どうしてですか?それは
蒼井:ミュージカル・・・・・に出てたので。
本上:は〜
蒼井:腹式呼吸でしゃべっていて、(中略)お腹の底から出てる、
本上:力強いですねー。
蒼井:なのに、愛想がなかったんです。すっごい印象悪いって言われました。
[中略]
蒼井:特技披露って私、いろいろ習い事をやっていたので、すごくいろんなことさせられました。一番多かったのがバレエ。とにかくいろんなとこで踊りました。これが出来たからってどうなんだろうと思いながら。踊ってくださいって言われるから、踊んなきゃなーと思って、スカートだったりするから、凄い、当初はいやでしたね。
山本:散々落ちまくって帰ろうと思いませんでした?
蒼井:思いました。なんか、なんでこんなことしてるんだろうとずっと思ってました。合格しないってことは才能がないということだと思っていて、だから本当に、自分には合わない世界なんだなというふうに思ってましたね。受けて、次の日、事務所から電話があって、今回も残念でしたっていって、まあそれで、芸能界でやっていきたいと思っているわけではないので、落ち込むのはいやで、とにかく福岡に早く帰りたくてしょうがなかったです。
相米真二監督のCMに抜擢】
蒼井:当時は地獄のような・・・・。3日間撮影があったんですけど、監督が絵コンテどおりにやるなって、言われて。ストーリーが、お父さんとあまりうまくいってない女の子が、だんだん心を通わせていくっていうその流れを守ってくれれば、何をやってもお前がどう動いたって、俺はお前のことをちゃんと撮れるんだからっていわれて。今それを言われると、すごい素敵な監督と思えるんですけど、その時は、帰りたくて帰りたくて、外でロケだったんですけど、陽が沈んだら撮れないというのはわかってたので、
山本:わかってたんですか?
蒼井:(笑)そういうことだけはわかってて、沈まないかなーってずっと太陽ばかり見てたんです。
山本:全然OKが出ないんですか?
蒼井:でないし、お芝居をするのが恥ずかしくて、台詞とか言おうとすると、真っ赤になっちゃうんです。
山本:今の自分から考えると、当時のそういうCM撮影だったらどれくらいの時間で終わると思います?
蒼井:・・・・・そう・・・・・そんな長いあれじゃなかったから、半日で多分、今だったらいろんなことがわかるじゃないですか、こうお父さん役の人にかぶっちゃいけないとか、その程度の知識しかないんですけど(笑)3日間かかって、
山本:半日で撮れるところを3日かけた。トップランナー情報によると、一緒にお仕事されたそのCMは、相米さんの最後のお仕事、一番最後のお仕事だそうです。で、相米さんの強い希望で蒼井さんが起用されたらしいですよ。
蒼井:(深呼吸)・・・・・・光栄ですね。ほんとに相米さんが私のことを考えてくださっていて、その撮影が始まる前に「リリィ・シュシュのすべて」の出演が決まっていて、そのCMの撮影中に優は今度映画に出るんだろう?って言われて、「はい」って言ったら、「こんな芝居してるとみんなに笑われるよ」って言われて、「きたえる」って言って、そういう優しさもあったのに、当時は太陽ばかりみて、早く落ちろ早く落ちろって思ってたんです(笑)。
本上:その3日間の撮影はとても貴重な、
蒼井:そうですねー。今考えるとほんとに貴重な経験でした。
岩井俊二との出会い】
2001年公開作品の「リリィ・シュシュのすべて」で強烈な存在感を示す。
本上:初めての映画の現場はいかがでしたか?
蒼井:楽しかったですねー。昔から団体でなにかをするのが好きで、学芸会とか、運動会とか、そういうのが好きで、その延長っていう感じで。作品を作ってるんですけど、休憩中にみんなでごはんを食べることが一番楽しかったですね。お芝居に関してはまったくがちがちで苦情がきたんです。
本上:(笑)どっからきたんですか?
蒼井:事務所の方に、お芝居が出来なさ過ぎるっていうふうに。で、事務所の方から言われたんですけど、言われても、がんばりますとしか言えなくて、じゃあ、うまくやりますとも言えないから、それぐらい出来なかった。台詞を言うので精一杯。一次ロケ、二次ロケとあって、一次ロケの時は全然お芝居の楽しさがわからなくて、共演者の同世代の子たちが、すごいお芝居が楽しい!っていう話しでもりあがってるのに、主役の市原隼人くんと二人で、まだ何もわからなかったので、何が面白いの?って言って、現場は楽しいけど、みんながそこまで熱く語るのに入っていけなくて。でも、二次ロケの、もうほんとにクランクアップ間近になって、なんか、気付いたら台詞と動きがちゃんと重なり合って、そのシーンを撮ることができたと思えた瞬間に、あ!お芝居って面白いって思えて、
山本:監督からアドバイスとかあったんですか?
蒼井:言われたのが、台詞を練習する時に普段の3倍のスピードで練習しなさい。どうしても、やっぱりお芝居やろうと思うと、なんかどっかでタメみたいなものがはいったりとか、話し方がゆっくりしたものになってしまったりということがあって、そうすると不自然なお芝居になるので、練習する時は3倍のスピードで、っていうくらいで、あと何かお芝居のお話しをしたという記憶はないです。
山本:どういう方なんですか?
蒼井:面白いですよ。雑学が。なんでそんなこと知ってるんだろうということをたくさん知ってたり、あと物真似とか(笑)
山本:誰のですか?ちなみに。
蒼井:聖徳太子(笑)
山本:聖徳太子!?(笑)
蒼井:髪の毛をばさっとやって、こう結ぶ仕草だけなんですけど。似てるのか知らないですけど、あ〜〜って。凄い面白い方ですね。おとなしそうとか、恐そうとかイメージを持たれがちなんですけど、実際はほんと優しくて頼りがいがある、お芝居のしやすい環境を自然と作ってくださる方なので。でも当時は楽しかったけど、私は福岡に戻ると思ってたんです。
山本:まだ思ってたんですか?
蒼井:想い出作りって言ってました。監督に。
本上:監督に?(笑)
蒼井:あの、女優やっていくの?って聞かれて、想い出作りって言ってて、まさかこんな長くお芝居をやっていけると思っていなかったし、想い出作りって言ってました。
【「花とアリス」】
山本:この「花とアリス」もオーディションですか?
蒼井:あれもオーディションでした。あんなに貪欲になったのは初めてじゃないかなというくらいどうしても合格したくて、もし落ちたらどうしょうということばかり考えて、で、そのオーディションの結果が出る日がわかっていたので、その日、一日、携帯が手離せなくて、ず〜っとマネージャーからの連絡を待っていて、で、合格したと聞いた時は、有楽町にいたんですけど、スキップして(笑)、本当に嬉しかったです。
本上:どうしてこの作品にそれほど魅力を感じていたんですか?
蒼井:やっぱり岩井さんともう一度お仕事したいと思ってましたし、あとは鈴木杏ちゃんって主役が決まっていたので、お芝居をしてみたいとも思いましたし、でもやっぱり監督ともう一度したい、現場が凄く楽しくて、「リリィ・シュシュのすべて」のクランク・アップの時は号泣したんですよ。ほんとに寂しくて。こんなに楽しかった現場が終わってしまうなんて、さみしくて、で、その日家に帰ってみた夢が岩井さんがもう次の現場にはいってて、他の人たちと楽しそうに現場をやっているのを私が近くを通りかかってみて、凄い泣いてるっていう夢をみたんですね(笑)。だからその時からもう一度岩井さんとお仕事したいっていうのは強く思ってました。
山本:夢にまでみられるって幸せですね。監督も。
本上:蒼井さんにとって、岩井監督っていうのは、どんな存在ですか?
蒼井:「おじ」って感じ。
本上:おじ?
蒼井:おじさんって感じ(笑)
山本:ほんとですか?でも実際、福岡のおじさんは夢には出てこないでしょ?
蒼井:(笑)だから、お父さんはやっぱり違って、でも一緒にいると落ち着くし・・・・あーでも、お父さんなのかな?「リリィ・シュシュのすべて」の時はおじさんと思ってたんですけど、今・・・・お父さんに近い存在かもしれないし、でも本当に大切な、私にとって大切な人です。
本上:岩井俊二監督からお手紙が届いております。
蒼井:(笑)
本上:これはですね、蒼井優さんの弱点とは?というところでお願いして書いていただいたお手紙です。
蒼井優の弱点
なんでしょうか?難しいです。ないといってもいいかもしれません。しいていえば、あの破天荒なところでしょうか?蒼井優の破天荒ぶりは大変なものです。幻想を抱いているファンも多いと思われるので、具体的な話しはさけますが、他に類をみない存在です。存在そのものを弱点と言ってしまいたいぐらいです。多分それを自分の長所だと思っていることでしょう。なんでも自分のいいように解釈しているようなところがあります。弱点をいくらあげつらっても、ことごとくそれを自分の長所にしてしまうようなところがあります。今、これを書きながらも、あ、岩井さん、褒めてくれてると思われそうで虚しいです。
 余談ですが、この場をおかりして本人に言いたいことがあります。インタビューとかで僕のことを親戚のおじさんみたいな人と言うの、もういい加減やめてもらえませんか?ちっともさっぱり嬉しくありません。これを機会に是非よろしくお願いします。 
岩井俊二

蒼井:言ってしまいましたね。さっき。
山本:凄い、羨ましいですね。
本上:愛されてますねー。
山本:愛されてますよ。むちゃくちゃ。
蒼井:最後、怒られちゃった。
山本:おじさんって呼ぶのはやめてってことですよね。
蒼井:お父さんはどうなんだ?
山本:でも、これお手紙の中に破天荒なって書いてあるじゃないですか。その破天荒エピソードはないんですか?
蒼井:エピソード・・・・・・・・・・・・・・・・・・え〜?・・・・・・・・・・・・破天荒〜?・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本上:気付いてない・・
山本:気付いてないんですね。
蒼井:たち悪いですねー(笑)。
山本:大丈夫です。
本上:岩井さんにお返事したいこと何かありますか?
蒼井:これにこりずに今後も仲良くしてください(笑)
【jamのコーナー】
会場の質問に答える
Q,女優以外でしたい仕事は?
蒼井:今、興味があるのは映画の現場にかかわる仕事で、映画のプロデューサーか、あとは・・・・映画祭に携わる人でもいいな。とにかくやっぱり映画に関係する仕事をやりたいです。
Q.舞台と映像、好きなのは?
蒼井:映像の方が・・私、ほんとに舞台にむいてないんじゃないかと思うんでこないだ、舞台たった時も、なんでNGばっかりするんだろうってくらい、NGといってもそれが本番なので、NGという言い方は、なんですけど、一ヶ月くらい公演があったんですけど、一ヶ月の公演の中で、三回こけて、小道具を2回忘れて、セットの真ん中に鳥カゴがあって、そこに頭をぶつけたりとか(中略)舞台にたったことで、映像の世界やってきて、編集というものに頼っていたことがわかったので、バランスよくやって行きたいです。
【第9回プサン国際映画祭】
女優を続けていく決意
蒼井:初めて映画祭というものに参加してその時ですね。私はほんとに映画が好きなんだと思って。やっぱりいろいろこうやって、好きというか、愛しいと思える映画に対する想いというものに自信がついて、プサンでレッドカーペットを歩いた時にここには映画を好きな人しかいないんだと思ったら、すごく感動して、レッドカーペット歩きながら、ちょっと泣きそうになったんですけど。
あとは、プサンの映画祭の盛り上がりが日本の映画祭にはないくらいの盛り上がり方で、すごくそれが悔しくて、で、向こうの学生の一番なりたい、人気の職業No.1というのが、映画監督なんですって。凄く羨ましくて、凄くやきもちをやくっていうか、日本もそうなったらいいなと凄く、ずーっと思っている自分に気付いて、あ、私、やっぱり映画が好きなんだと思って、日本映画ももっと世界に誇れる日本映画が、もっともっと出来ればいいのになと思ったし、今でも海外に誇れる作品がたくさんあるのに機会がなくて日本だけで終わってしまってるのとか、もったいないなあと思って、そういうことが・・・・思えたので、だからプサンに出て、ず〜とこの仕事をやっていこうと。やっていこうと思っても使ってくれる人がいないとダメなんですけど(笑)私の中ではやっていきたいなという気持ちが固まりました。
【「ニライカナイからの手紙」】
初主演。
山本:主役を演じましたけど、どんな感じでした?
蒼井:そうですね。撮影に入るまではすごくいろんなこと考えてしまって・・・お話しをいただいた時も、まだ主役は早いと思っていて、そんな主役が出来る器ではないと思っていたので、主役の方を支えるっていう作業の方が自分には性に合ってると思っていたので、凄く悩んだんですけど。台本を読んでみると凄く、・・初めて台本を読んで泣いて、で、監督も以前お仕事をさせていただいた熊澤(尚人)監督で、あとスタッフさんも「リリィ・シュシュのすべて」の時のスタッフさんが多いということで、そういうのが後押ししてくれて、出演するのを決められたんですけど・・。だから撮影に入るまでは、今まで自分が見てきた主役の人のように、周りに気を遣えるかとかそういうぶれのないちゃんとした軸になれるのかっていう、すごく不安なことばかり、不安に思ってたんですけど、実際撮影に入ると、ほんとずっと出てるので、そういうこと考える暇がなくて、でもクランクアップでお疲れ様でし
たと言われた時もわけもわからず涙がずーっと止まらなくて、で、なんで泣いてるんだろうと思いながら泣いていて、でもきっとそれは自分の知らないところで、どっか緊張してたんだと思うんですよね。その緊張した糸が切れたからすごく涙がとまらなかったと思うんですけど、すごく貴重な経験になりました。
山本:やってみてよかった!
蒼井:よかったですね。本当に。主役っていう立場にあんまり縛られることはないんだな、ただ、いつも通り、一生懸命お芝居をして、でも迷いだけは感じさせちゃいけない、それだけを守れば、主役だろうが、どこの位置にいようが、関係ないんだなというふうには思いました。でもやっぱり次の作品で、これ以上の想いになれるかというのは不安ですけど。それぐらい良い作品になりました。
山本:将来めざす女優像というのは?
蒼井:う〜ん、映画に深みを出せる人になりたいなって思います。あとは立っているだけで、何かを語れるような説得力のある女優さんになれればいいと思うのと、かといって蒼井優というカラーは、その、決めないでいたいなーと。一番理想なのがお客さんが観終わったあと、役名で感想をいいあってくれる、蒼井優がどうだったとかいうよりも、役名であの役よかったとかそいういうふうに言ってもらえる役者でいたいなーって思います。
山本:少女の面影を残しつつ、凄い芯の強い、落ち着いた大人びたというか、老成された感じを持ちつつ、いろいろと悟ってしまった19歳という感じですねー。
蒼井:(笑)
本上:「ニライカナイからの手紙」を拝見した時に
蒼井:ありがとうございます。
本上:凄くフィルムに愛されてる人だなーって私はあの映画を観て思ったんですけど、
蒼井:とんでもない、ありがとうございます。
本上:ず〜っと福岡に帰りたいと思っていた蒼井さんのことをみんながひきとめたくなったんだと思うんですよね。
蒼井:いや〜、ほんとラッキーですよね。
本上:なんかそれが今日お話しを伺っていて、その魅力がこういうところにあるんだなっていうのが確かに気配として伝わってきて、よかったなーと思いましたね。
蒼井:ありがとうございます。