後藤真希 LIVE TOUR 2006 〜G-Emotion〜 @大阪厚生年金会館(11月25日)[夜公演(ファイナル)レポ編]

さて、前回のエントリーで、この「G-Emotion」について、何よりも“見せる”“魅せる”にこだわった演出の統一感がひしひしと感じられる! と書きました。そのあたりのところをもう少し詳しく見ていこうと思います。


「G-Emotion」が、6月に行われた新木場STUDIO COASTでのシークレットライブの延長線上にあるのはまず間違いないでしょう。シークレットライブはごっちん初めてのライブハウスでのスタンディングライブということで、クラブミュージックを意識した、ダンス・フロアなのりを加味したものでした(って、この言葉の使い方ってあってます??)。
今回の「G-Emotion」では冒頭の三曲が、まさにそういったのりでかっこよく迫ってきます。衣装もこれまでにないセンスあるもので、「SOME BOYS! TOUCH」も最初のPVの段階からこれで出てきたら、また雰囲気かわったんだろうなぁなんて想像させるくらいナイスなデザイン。男性ダンサーと同じスピードで踊って歌い上げるごっちんがとにかくかっこい!!
全編にわたって、そういうダンス・フロアな空気感は保ちつつ、次に導入されてくるのが、“演劇的”なものです。例えば「ステーション」。舞台の中央でごっちんが熱唱していて、上手側のステージで男女のダンサーさんたちがまた踊っている。これは、この歌の歌詞を忠実に再現してみせたものといっていいと思います。「ステーション」に関しては、個人的には歌謡曲っぽいからという理由でそれほど好きな曲ではないのですが、歌詞はなかなか衝撃的でドラマチックです。考えてみればつんくの書く歌詞というのは、今、J-POPではやりの抽象的な言葉で覆われた心象風景のようなものの羅列の類の歌詞とは一線を画していて、わかりやすく、ある種、映像を想像させやすいものが多いような気がします。それを演劇的に再現しようとしたものが今回の「ステーション」です。
これは宝塚歌劇で以前見た、男役のトップスターがステージの中央で歌い、ステージのすみっこで男女がタンゴを踊っていたシーンを思い出させもしました。演劇的というかミュージカル的というのでしょうか、「LOVE缶コーヒー」でも、ちょっとした演劇的な演出が加えられ、軽快感が増していました。*1
スッピンと涙。」は途中からアカペラになるんですが、これもミュージカル的な表現に似たものが感じられます。ここでのごっちんの感情のこめ方には息をのみました(夜公演では一瞬ごっちんは感極まって歌えなくなります。でも力を振り絞って最後まで歌いきりました)。
こうした演出を可能にしたのは、昨年のライブからの観客による「スッピンと涙。」を静かに聴きいるという徹底した態度(といっても静寂がやぶれる場合も何度かあったようですが)があったからこそだろうし、演者と観客の互いの信頼感が生み出したものといっていいかと思います。
そうして「溢れちゃう…BE IN LOVE」。これはステージの中央に薄い幕(のようなもの)がはられていて、そこにシルエットが大きく映し出されて、なまめかしい感じでゆれていて、ちょっと怪しい雰囲気を漂わせます。ここでの展開とその後のマジック、イリュージョンと、本当に“見せる”“魅せる”の意識の統一感を夜公演では凄く感じました(イリュージョンなどの仕掛けに関しては前回書いたように多少間抜けな点もありましたけどね)。サイリウムを振るのも忘れて、すっかり見入ってしまいました。貪欲なまでに様々な方法を使って、表現というものにこだわった意欲的な試みだったと思います。


昼公演で,“全体のまとまりとしては無骨”と感じたのは、個人的に、最初のフロア的なのりのまま演劇的な部分へ突入していったせいなのだと思います。夜公演では実にスムーズに流れに乗ることが出来たのでした。
それにしても、このような展開だと、ごっちんの表現力はいつも以上に要求されることになるわけですが、堂々としたものでしたね。男性ダンサーが加わったことによって、スピード感もアップしたし、演劇的な表現のディテールも豊かになって、リフトされたりするごっちんの姿というのもなかなかに新鮮でよかったです。


さて、その後はいよいよ「ALL OF US」前の暗転。「後藤真希ライブツアー2006G-Emotion大阪FINAL企画 ALL OF USで星空を送ろう」が有志の方によって企画されており、星の形がついた黄色いサイリウムをあわてて組み立てます。ここでの暗転はかなり長いのでそんなにあわてなくてもよかったのですが(いや、ほんと長すぎます)、黄色く染まった会場は本当に綺麗でした。ごっちんが「ALL OF US」を壮大にかつ愛らしく歌い上げるその世界にぴったりの風景でした。ごっちんも感動のあまりちょっと涙をこらえるようなシーンもあり、その後のMCではごっちん流に感謝の気持ちを伝えてくれました。
( ´ Д `)みんなやるじゃん。
( ´ Д `)衣装の色だよね?
星〜!という観客の声に
( ´ Д `)ちっ! (←あなた最高!)
( ´ Д `)嬉しいけどなんて言ったらいいのかわからない。
( ´ Д `)(生声で)ありがとう!
沸き起こるごっちんコールに対して
( ´ Д `)ほんとににそっちまで飛んで行きたくなる〜、でもパーマンでもウルトラマンでもスーパーマンでもないので無理だけど (←なんでパーマンが一番最初なのさ(笑))


ライブの形がどんなに変わっても、MCのごっちんはいつものごっちん


この企画を立案、準備された皆さん、用意されたサイリウムも尋常ではない数と聞いています。当日の段取りなども大変だったことでしょう。おかげさまで大きな感動を与えてもらいました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです!!


ここからは後半戦ですよ。
うわさのSEXY GUY」から「ガラスのパンプス」までの4曲はあっという間でした。アンコール2曲も含め、従来のごまコン的のりで展開されます。
「エキゾ」ではシークレットの時よりも数段ごっちんが怖い女王様、Sっちんになっていました。でも意外と動きは少なかった印象。もともとは囁く様にうたう歌だけど、なんか普通に歌っていた印象が・・・。ともかく楽しい! 


アンコールに突入してからは、きっと会場にいる誰もが期待していたことでしょう。どこでごまコン千秋楽恒例の着ぐるみが登場してくるのかと。私も、大根*2を超える着ぐるみはなにかなぁなんて思いつつ、まだかまだかと待っていました。でも、どうやら着ぐるみが出てくる余地はなさそう? と思ったとき、ステージを去ろうとしていたごっちんが、こちらを振り向いて、
( ´ Д `)まだ帰れない。
( ´ Д `)まだ終われないんだよね。
と降りてきたのです。そうしてごっちんがもう一曲と言うと会場がうわ〜〜!と沸いて「スッピン?」なんて囁き声も聞えてきたりしました(韓国でのライブがそうだったみたいですね)。そう、そのときは、みんなダブルアンコールとは正確には違うけど、もう一曲歌ってくれる、ラッキー♪みたいな気分だったと思う。でも、そのあとでごっちんは「歌って伝えたいと思います」って続けたのでした。伝えたい? そう、次の一曲には物凄く大きな意味が含まれていたのです。
ごっちんがみんな出てきてと言ったとき、私はダンサーさんたちが登場するものだと思っていました。予想通りダンサーさんたちが出てきて、でもそのあとに、スタッフさんたちまでもがステージになんだか、照れながらも出てきて、このライブの振り付けだけでなく演出も担当したRyon-Ryon先生も出てきて、ステージが人でいっぱいになったとき、その光景を見ただけでジーンときてしまいました。ダンサー、スタッフの皆さんに会場から暖かい拍手が送られRyon-Ryonコールが起きて、Ryon-Ryon先生からの言葉も聞けて。
そうしてごっちんは語り始めました。


( ´ Д `)今から歌うのは「手を握って歩きたい」なんだけど、ちょっといやな話しをしてもいい? 最初にこの「手を握って歩きたい」っていうシングルをもらったとき、それまでのシングルは、「愛のバカやろう」とか「溢れちゃう・・・BE IN LOVE」とかそういう流れだったから、何でこの曲なの?って思った。


勿論、レコーディングも一生懸命やったけれど、当時ごっちんにとってはなぜこの曲なのかという思いが強かったらしい。コンサートなどで歌い続けているうちにその良さがだんだんわかってきて、でも、本当の意味で歌詞を理解できたのは、ごっちん曰く、「気付くの遅いかもしれないけどつい最近のこと」で、出会ったみんなにありがとうと感謝するこの歌で、みんなに気持ちを伝えたくて、昨日、この歌を歌うと決めたとのこと。


そうしてイントロがなり始めて、「手を握って歩きたい」の歌が始まってダンサーさんやスタッフがみな手をつなぎはじめて、こちらも感動して涙が出てくるんだけど、それでも嬉しくて楽しくて笑っている。この多幸感! これがごまコンの真髄なのです!! 本当に、素晴らしい、素晴らしいLIVEでした!


手を握って歩きたい」はこれまでのコンサートで何度も歌われてきた曲です。ごっちんが、その歌詞の意味に気付かずに歌ってきたとは思えない。感謝の意味をこめて、毎回、心をこめて歌ってきたはずです。でも今回の“歌詞の意味の理解”というのは、おそらく、これまでよりもさらに深い意味での理解があったのではないかと思うのです。
今年にはいっての歌手としてのごっちんの展開を、私は後藤真希の王道路線への回帰と勝手にとらえています。「愛のバカやろう」「溢れちゃう・・・BE IN LOVE」「ガラスのパンプス」「SOME BOYS! TOUCH」と続けて並べたら、ちゃんとした流れがあると思いませんか?
でも、「ガラスのパンプス」(今ライブでも「私の大好きな曲です」と言っていました)、「SOME BOYS! TOUCH」は、20歳の、あるいは21歳の後藤真希だからこそ表現しえたものだと思います。背伸びしたセクシー路線とかじゃなく、彼女がこれまで育ててきた表現力があったからこそ、可能ならしめたものではないでしょうか。これまでの数年間で歌い続けてきた歌が全て大切でかけがえのないことを彼女は改めて心にかみしめたのではないでしょうか。その象徴としての「手を握って歩きたい」なのではないでしょうか?
だから、ここでの感謝というのは、この「G-Emotion」にかかわった全ての人々への感謝であると同時に、これまでの歌手・後藤真希の成長に関わってきた全ての人への感謝が含まれているのではないかと思うのです。


手を握って歩きたい」を歌い終わったごっちん

( ´ Д `)撤収、解散〜〜私もはけちゃう。

まったく照れ屋なんだから。ライブ終了後、Ryon-Ryon先生やマロさんが熱くこのライブについて自らのブログで綴っていたのに対し、ごっちんブログはえらくあっさりで、そのあたりも後藤さんらしいなぁと微笑ましく思いました。
最後にごっちんは「ありがとう」という言葉を残して、舞台を去りました。こちらこそありがとう。最高の夜でした!


そうしてこの日記は11月25日に記した日記に戻っていくのです。
アンコール時のMCでごっちんは「今日でライブは最終日だけれど、これはG-Emotionの終わりであり始まり」と表現し、「2007年、2008年と先を見据えて」とも言っていました。
来年はどんなライブが見られるのでしょう?
どんな後藤真希が待っているのでしょうか!?

*1:「ステーション」で、男サーのマロさんが、座って頭を抱え込むシーンがありましたが、歌詞のほうではただのひどい男だったのが、この動作によってなにか人間的なものを感じさせ、新たな視点をこの歌に与えることに成功していたと思います。

*2:今年の春のハロプロパーティーコンの千秋楽でごっちんは大根の着ぐるみを着て「大根マキ」として登場