「サマータイムマシーン・ブルース」

サマータイムマシン・ブルース」を観に梅田リーブルへ。クーラーのリモコン持参の人は1000円でご鑑賞いただけますとのことなので、リモコンを持って行った。でもこういうのってなんだか恥ずかしいね。よくテレビの番組でお店の紹介があったりしたときに、「○○見てきました」と言った方には特別サービスっていうのがありますが、ああいうの私、絶対出来ません。でも今回は800円も安くなるということなので、思い切って窓口で差し出す。
 映画の方は、ちょっとないくらい完璧な仕上がりになっていて、感心させられた。まず構成が見事。いわゆるタイムマシンものなので、過去と未来が交錯する作りになっているんだけど、なんだかとってもすっきりしている。自分は理科系的な考え方がちんぷんかんぷんな、今、中一の理科の定期試験受けてもきっと0点とるような理科系音痴であり、時空と空間と聞いただけで脳の機能が停止するような奴なのだが、そんな人間にも深く混乱させることなく、物語を語っていくことに成功しており、なんだか、矛盾点につきあたると、「う〜ん、なんだかへんだな〜」と写真部員の女子に語らせて、軽くスルーしていく様子がなんとも素敵である。そして、そもそもタイムマシーンの仕組みを説明してみせる学者(佐々木蔵之介 )の言ってることが妙に頼りなくて、信憑性ゼロなのだが、その信憑性ゼロにのっとって、物語がどたばたと展開していく、そのしれっとした様がなんともおかしい。
 先日テレビの洋画ロードショーで『タイムクラッシュ・超時空カタストロフ』という映画を観たんだけど、これもタイムマシーンもので、有名な複数の大惨事現場写真に同じ人間が映っていることに気づいた主人公が、惨事を阻止しにいくというストーリー。未来からタイムマシーンに乗って過去の大惨事現場を巡るというツアーが存在したという展開で、B級ながらかなりスケールの大きな話だった。それに比べて、「サマータイムマシーン・ブルース」は、クーラーのリモコンが潰れる前に戻って、潰れていないリモコンをとってくるという、そ、そんな遠慮しなくていいのよ、といいたくなるくらいにスケールが小さい。そのせこさがまた笑えるのだけれど、そのささやかさが、はからずも、後半99年前の町の伝承にかかわってくるという広がりを見せていくさまは面白おかしくも鮮やか。
大谷健太郎監督の「約三十の嘘」を観た時は、これって、映画よりも演劇に向いてる話だよな〜と思って、あとから舞台を映画化したものだと知り、やっぱり、と思ったものだったが、この「サマータイムマシーン・ブルース」もヨーロッパ企画の同名タイトルの舞台の映画化だという。でも、全然もとが舞台だったという感じがしない。舞台の方とはまた全然違う作りになっているんだろうな〜。これはちょっと凄い才能ではないか!とはいえ、舞台が映画になった時にありがちなやたら、登場人物を走らせるというのはここでもあって、でもそれもみんな必死になっているんだけど、どこか間が抜けていてなんだかおかしいし、そして、その背景に広がる緑の景色がなんともきれいで心地よいのだ!