「バンジージャンプする」(ねたばれあり??)

先週見られなかった韓国映画バンジージャンプする」を観に梅田ガーデンシネマへ。少しは客足も減ってるだろうと予測したんだけど、今回も「立ち見」になっている。凄い人気だ。まあ、立ち見でもいいや、と中へ。予告編が終わって本編スタート。お、これはまるで「ジュラシックパーク」のような風景だわいと、空撮される渓谷のシーンを眺めていると、後部座席の男性が、隣の女性をどなりつけて、「こっちは真面目に見ようとしてるんだから!」とか大声出すもんだから、びっくりしてそっちに気をとられてしまい、肝心のイ・ビョンホン扮するソ・インウが、一人の女性に一目ぼれしてしまうきっかけとなるシーンを見落とす。もうね〜、その女性が、しゃべってたのか、食べ物をごそごそやってたのか、知りませんけど、どっちもどっちだよね〜。此処は、自分ちじゃないんだからね!!
その後は、特にハプニングもなく、イ・ビョンホン扮する主人公が、イ・ウンジェ扮するテヒに恋する初々しい様が展開し、イ・ビョンホンファンらしき、「韓流」ブームを支える人たちが大半をしめる劇場の中は、ほんわか、暖かいムードが漂い、コミカルな展開に優しい笑い声が起きる。なかなか和やかな雰囲気。舞台は、1983年。大学生を演じるイ・ビョンホンが、とても若々しく、また、当時の雰囲気が、凄く出ているので、もしや、これは「韓流」ブームで掘り起こされた昔の映画なのか、と一瞬勘違いするくらいに、ある意味古めかしい感じがよく出ている。恋仲になった二人なのだが、ソ・インウが、兵役につく日、必ず見送りに行くといったテヒは待てども待てどもやってこない・・・。
そして、物語は、2000年3月へ。インウは、高校の教師になっており、それを髪の分け方だけで、見せてしまう。この変化は、とても自然だ。さて、此処からの展開が凄い。予想だにしていなかった物語が展開し、唖然、騒然、愕然、まじかよ〜!と叫ぶこと請け合い。へたしたら「とんでも映画」になるような奇想天外摩訶不思議なストーリーになっていくのだが、そこは、過剰な演出が多いと感じられる韓国映画の中では、ぐっと抑え目な演出がなされていていて、学園の日常がとても丁寧でかつ魅力的に描かれる。学園ものとして一本とっても素敵な映画がとれただろうなという瑞々しさや、若さの躍動感があり、そうした日常を丁寧にリアルに描くことで、奇想天外な物語がぐっとリアルに、共感できるものとして成立してくる。我々にもなんだか、妙だなと感じさせていくディテールの描き方が緻密でゆっくりしたもので、例えば、ここにストーリーを書いて紹介しただけでは、「なんじゃそりゃ〜」と思うだろうものを説得力をもって納得させてくれる。携帯のメッセージを思わず消してしまうイ・ビョンホン(ここではまだ観客は和やかに笑っている)、携帯で生徒にどなって、あわててあやまるイ・ビョンホン、生徒の肩にまわされるイ・ビョンホンの腕の妙なアップなどなど・・。過去の出来事が、間、間にはさまれて、謎が解かれていく展開もうまい! 冒頭に見逃したシーンは何度かその後繰り返されるのだけれど、実は、それが偶然ではなかったというシーンが、ぽんと挿入されて、これはちょっと衝撃的だった。
 ラスト、冒頭のジュラシックパークみたいな風景が再び登場するまでの描き方も洗練されている。最後の最後にきっちり泣かされてふと思った。世の中で、映画ファンほど、騙され易い人種はないのではないかと。しかも突飛なことで。例えば、親しい友人が、「実は私はこれまで誰にも話せなかったのだが、宇宙人なんです」だとか、「私は以前あなたに助けられた亀だが、今はわけあって、こんな格好をしているんです」と告白してきたら! うそだろ〜、ありえな〜いと思いながらも真剣なその人の顔をみて、「え、マジかよ〜、え??ほんと?・・・・・・わかったよ、誰も信じなくても私だけは信じるよ」とか言ってしまうのは多分映画ファンだけだと思う・・・・。こんな映画ばかり観てるから・・・。