「ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月」(ラストに言及しています。)

前作『ブリジット・ジョーンズの日記』で、社会派弁護士、マーク・ダーシーに「そのままの君が好き」と、まるで日本の少女マンガのような、多数の女性が言われてみたいと思っている(?)素敵な言葉をもらって幸せになったブリジット。「そのままの君が好き」という言葉にどんな魅力があるかって? そう言うふうに言われて見なさい。めっちゃいいよ。だって、楽だもん。なんか文句を言われようもんなら、「そのままの君が好きって言ったじゃん!」で全て解決(??)。なんの努力もいらないのだ、勿論、進歩も、向上心も成長も。
そんなわけで、前作では、最大の関心ごとが「ダイエット」であるかのように見えたブリジットだが、本作ではまったくやせようとしていない。これは当然のことで、なにしろ、マークは「ふっくらした君が好き」っと言ってくれるから。実際、ブリジットに扮するレニー・ゼルウィガーは前作以上に太ったように見える。役柄のために太った俳優といえば、古くは「レイジング・ブル」のロバート・デ・ニーロ、最近では、トップモデル並のスタイルからぶよぶよの場末の娼婦の体型になってみせたシャーリーズ・セロンが思い出されるけど、ここまで太って大丈夫なのか?元に戻れるのか!とちょっと心配になるくらいの見事な役作り。
さて、少女マンガチックなハッピーエンドで幕を閉じた物語の「その後」を描こうとする本作。物語はハッピーエンドで終わっても実際はそこからまだいろいろなものが続くのよとばかり、前作を多少反省しているかのように、男女の愛情のすれ違いとか、人生設計の微妙なずれとかを描いていく。イギリスのエリード階級をちくちくと皮肉るシーンもあり、このあたりはなかなか興味深い。でも、ブリジットがタイに行くあたりから、物語はスラップステッィック的なコメディーになっていって、別に美女でもないなんでもないブリジットを巡って男二人が決闘というか大乱闘を繰り広げてくれるは、美人秘書がなぜか、ブリジットに恋してたとか、最後はちゃんとマークにプロポーズさせてしまうとか、結局のところは、ラブコメ少女マンガの世界に落ち着いていくのである〜!
でもこれはこれでいいのだ。特に華やかでも美しくもない女性が、素敵な男性に無条件に愛される、「少女マンガ」的世界というのはなぜだか、見ていて、やっぱり面白いのだ。「ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月」はあくまでもこのシリーズは「少女マンガ」なのよとばかり堂々と居直って見せた作品なんである。