「インストール」

シネリーブル梅田にて。これが今年の映画はじめとなりました。予告偏が終わって、さあ本編が始まると身構えていたら、角川映画のマークが。そうか、これ角川映画なんだ。その先入観で見るせいか、上戸彩を起用したこの映画が往年の角川アイドル映画とだぶって見える。やたらスカートの中を気にするあたりだとか(といっても「ラブ&ポップ」のように、少女たちのスカートの下をカメラがレールの上に乗って通過するようなふてぶてしさはない)、いわゆる“アイドル女優”に“性”をつきつける様子だとか、そうした作りはまさに角川映画的。ただし、「インストール」は実にあっさりしていて軽い。見ていて全然痛々しくない。そのあたりの角川映画との違いは、“中年男性の不在”ということで語られると思うけど、ここではそれを記述することに留めておこう。
で、まあそんな婦女子の世界は、ぬるくて、ゆるくて、そして、やっぱりちょっぴりせつない。この作品は“17歳について”の青春映画として記憶されるだろう。
“17歳”という時を物凄く有意義に過ごしている人って、おそろく、それほど多くはないんじゃないかと思う。ちょうど受験もない学年だし・・・と決め付けてしまっていいものかはなはだ疑問ではあるが、大多数の人にはなんだかいつの間にか通り過ぎていってしまう1年じゃないのかなあ。それだけにその“失いやすい1年”は、逆にドラマチックといえるのかもしれないと思う。原作者の綿矢りさは、17歳の時にこの小説を書き、史上最年少で文藝賞を受賞した。ヒロインを演じた上戸彩も当時17歳、有意義な過ごし方をしている代表のような方から、こうした作品が生まれるのはやや皮肉だが、まさにそうした才能だからこそ、この“微妙な時”を描くことが出来たんだろう(監督はおじさんだけどね)。