「恋の門」

シネリーブル梅田にて。かなりのロングラン上映ですよね。おかげで観ることが出来ました。スピーディーだし、ダイナミックだし、奇抜だし、ぬけぬけとカメオ出演大竹しのぶらが笑わせてくれるし、音楽の趣味はいいしで、とても楽しい仕上がりになっております。会社では何食わぬ顔をしながら、家ではコスプレマニアで、同人誌作っていて(黒字1000万だなんて尊敬!後日談はありますが))、コミケに参加している女子と石で漫画を描く男子の恋物語。意外な人々が出演していたりもするんですが、野呂役の塚本晋也とか、イメクラ店長の三池崇史とか、旅館の主人役の 庵野秀明とかはすぐにわかったんだけど、一方で、旅館の女将安野モヨコとか、漫画家さんたちは、全然分かりませんでした。あと尾美としのりだったのか〜!アノ人は!!
なにか、かなり自分の方に近い世界かもと思ってしまったりもしたのですが(コスプレ趣味はなく、コミケも参加したことないけど・・・尤も東京に住んでたら絶対、売るほうにも買うほうにも参加していただろうが・・)、特に三人が漫画賞をかけて絵を描きだして、やがて、「気持ちいい〜」という状態になるところとか、なんだかんだいいながらなかなか絵を描かない主人公とか、私的に非常に感じるところがありました。一方で彼らは、家族ごとコスプレーヤーだったり、画壇で無難な絵を描いている父親に反発はしているものの、同じ絵描きだったりして、あっちの世界に行ってしまっている人という距離感を感じたりもしました。
 尤も、この映画、特殊世界のサブカル系とかヲタク映画として記憶されるよりも、まずなによりなんといっても“キスシーンが素敵”で記憶されるべきでしょう。酒井若菜が絶妙。結局、このオタクなキャラクターに自分が近かろうが、近くなかろうが、二人の恋にいつしか引きずり込まれ、恋の打算に笑わされ、どうしても捨てられないものの多さに共鳴してしまう。これまでたくさんの映画を観てきたけど、これほどうっとりなキスシーンはございません。尤もいつも嘔吐がともなっていますが、そこは、それ、「スペース・カウボーイ」とか「猟奇的な彼女」などの恐ろしいシーンにくらべれば、実に上品に描かれていますから。