「スクール・オブ・ロック」(ネタバレあり)

映画みながら思わず、“J.B”“J.B"って、コールしたくなってしまった!ここでいうJ.Bはジェームズ・ブラウンじゃないよ。ジャック・ブラック。あの「ハイ・フィデリティ」で、大音響でレコードかけるレコード屋の店員をやっていたヤツだ。
 ジャック・ブラック扮する男は、レコードデビューを狙うバンドメンバーからお前は邪魔だと言われてバンドをクビになってしまう。ふて寝しているジャックに追い討ちをかけるのが、部屋をかしてくれているジャックの友人(元はパンクロックに興じていた男らしいが今はまじめに臨時教師をやっている)の口うるさい恋人。家賃を払うため、たまたま友人にかかってきた電話にでたジャックは、彼になりすまし、有名私立小学校の偽教師となる。はなから授業などやる気のない彼は、「休憩」といっては時間が終わるのを待っているばかり。しかし、ある日、生徒たちが、音楽の時間に楽器を演奏しているのを見て閃いた。そうだ!彼らとロックしよう!こうして、彼のクラスは朝から晩までロックづくし、バンドの演奏からロック史の時間まで、しかも宿題は往年のROCKの名作を聴くこと!
 とにかく作品ののりのよさは抜群。観終わったときの爽快感といったら! 登場人物は学校ものだけあって、それなりに多いんだけど、その一人一人をうまく個性を持って描き出していて、例えば、頭の硬い校長(ジョーン・キューザック〜彼女が出ている映画はたいてい面白い!)が、実は保護者からかけられるプレッシャー下で苦悩していることなどがさらっと描かれる。一見単純な作品に見えて、結構、丁寧に人物描写をおこない、子役たちも個性的で、かわいく描かれている。そして、やっぱりジャック・ブラックのパフォーマンスが素晴らしい。抜群の声量とリズム感。小太りの体がうねりまくり! “J.B”“J.B”“J.B”! いくらコールしても足りないくらいだ。
 でもこの映画が凄いのは、ロックの反骨精神だとか、いわゆるアウトローとしてのロック魂と、学校での健全な教育という、一見相反するようにみえる二つの要素が抜群にからみあっていることだ。ジャック・ブラックは、生徒たちの個性を見抜き、次々と力を発揮できる場をあたえてやる。まあ、このあたりは、実にいい加減になされるんだけど、生徒からの意義申し立てには柔軟に、そして、適当に(!)やる気をもたせるように配慮し、生徒たちの個性を認め、彼らに自信をつけさせていく。私は映画を観ながら一瞬NHKの「課外授業ようこそ先輩」を思い浮かべた・・・。
 で、その一方で、ロックの反骨精神も健在である。抑圧から開放された彼らは実に生き生きしているし、そこにあるのは、本物のロック! 子どもをつれていって、おとなぶらせようとする奴らなんて偽ものだ! 売れるために仲間を捨てるヤツらなんて偽者だ! (自分も偽教師やってたんだけどさ!)と本物のロック魂が健在しているんである! 
 バンド「スクール・オブ・ロック」の演奏は最高〜! エンドロールも延々と彼らのパフォーマンスが続く。女の子が歌う。“映画は終わってるけど、まだ出てる〜!”笑った。