「15」(青幻舎)

 黒瀬康之、今井智己、鳥巣佑有子ら6人の写真家と、藤野千夜の小説(「中等部超能力戦争」という素敵なタイトル)、魚喃キリコの漫画などで構成された「15歳」をテーマとしたイメージ本。ほぼ写真集と言ってもよろしいでしょうか?!
 生身の15歳というのにはちっとも興味がない。出来ればあんまりかかわりたくない。だってさ、この年頃の女の子って、本来は一生の中で一番性格のよくない時期じゃなくって? それは君の主観だ!と言われればそうかもしれないけど(みんながみんなそうだとは言わない)、ちょうど思春期の反抗期の生意気盛り。若さということだけを武器にしていろんなことに無自覚な時だし。本当の15歳はそんなに美しいものではないと思う。
 でも、その15歳をイメージに作品を作りたいという衝動はよくわかる。なぜなんだろうか? それはやっぱり単純にティーンエイジというものが特権的な時代だからだ。放課後誰もいない教室に友だちといるときのわくわく感だとか、制服から私服に着替えたときの違和感だとか、ほんのちっぽけな世界をそれが全てだと思っている認識の狭さだとか、そんな感覚ってほんとその時だけで、2度と味わうことは出来ない。その特別感が一種の幻想となって甘美なイメージが沸き起こる。
 本書の中の写真家の作品の中の15歳たちは、ほとんどの人がタレントさんで、いわば写真家のイメージで創作された15歳の世界が写されている。15歳の名もない少女たちのドキュメンタリーではない。だからとても安心して観られるし、きれいだね、きゅんと来るね、と心地よく楽しむことが出来る。いわば理想の15歳像。でもその節々にちらりほらりと本物が見えるような気もするのだ。15歳を生きているときは誰も気付いていないことを、なんとか形にしたいという思いが創作なのだから。