「ドラムライン」(ねたばれあり)

いやあ〜もの凄いものを観てしまった。オープニングからエンドタイトルが終わるまで、興奮で打ち震えた。こんな高揚感を与えてくれるのは、他には後藤真希のコンサートしか思い浮かばない。とにかく映画好きだけでなく音楽好きも映画館に駆けつけなさい!と言ってみたくなるなあ。
 アトランタを舞台にした大学のマーチングバンド部のお話しである。ブラスバンドとかいうと、日本の中学、高校の部活動なんかでは、一部の伝統校を除けば、女子中心で、男子部員も運動が苦手な子がやっているなんてイメージが強いのだが、この映画に出てくる、マーチングバンドは、その練習風景がとにかく軍隊のしごきみたいにもろ体育会系なんである。ここまで鍛えないとやっていけないというのは、あとから出てくるパフォーマンスの数々の圧倒的ダイナミズムさを観れば納得することになる。なぜ、そこまでやるのか、A&T大学のマーチング大学で最高のパフォーマンスをするため! 一人一人の能力は勿論のこと、「バンドは一つ、音楽も一つ」(One Band, One Sound)という、チームプレイの大切さも常に自覚していなくてはならない。主人公のデヴォン(ニック・キャノン)は、マーチングの花形のマーチングドラム隊の新入生。天才的な技を持っているが、性格に難ありで、何かと上級生や、監督と亀裂を起こす。そんなドラマ部分は、ある意味典型的なのだが、ニック・キャノンが、憎めないかんじで、「チアーズ!」などにも見られた元気で健全な学園ものの雰囲気がとってもいい感じなのだ。
 それでもやっぱりこの映画の見せ場は、手に汗握るといっても過言ではない恐るべきライブパフォーマンスだ! いや、もう凄いよ。例えば、シンバルってこれまですごく地味な楽器だと思っていたけど、ここではまるでカンフー映画みたいに空を舞うのだ。まさに音楽でのバトル!バトル!バトル! てっきり、主要な人物たちは、経験者から選んだのだと思っていたら、主人公をはじめ、主だった人は、初心者でこの映画のために猛特訓をやったらしい。さぞかしの猛特訓だったんだろう。だって、彼らの演技、完璧だったし、驚異的だったし!で、彼らのパフォーマンスをあらゆる角度から撮るカメラも最高〜!そして、観終わってからの満足感は格別!
 いやあ〜もう完全にやられました。今のところ、今年観た中でのナンバーワン!