「この世の外へークラブ進駐軍ー」

スタジオパークといえば、以前、オダギリジョーが出演した回を見たのだが。それまでは、オダギリといえば、「アカルイミライ」や「あずみ」があったにもかかわらず、テレビの人というイメージが私の中にあったのだけれど(「ビギナー」もいい味だしていたし)、この番組を見て彼が映画館育ちであるということを知った。なんでもお母さんが仕事に行くときに彼を映画館にほうりこんでいっていたらしく、小さいころから、わけもわからないまま、たくさんの映画を見て育ったのだという。番組では、彼が出演した「この世の外へ」にもふれ、坂本順治監督への熱い思いを語っていたのだけれど、この坂本監督もまた、ずーと前の「スタジオパーク」で、子供のころ、近くの映画館でずっと映画を見ていたことを語っていて、よく似た子供時代を歩んできた二人の幸福な出会いというんだろうか、「この世の外へ クラブ進駐軍」は、そのオダギリが、この上もなく幸せそうに画面の中で笑顔を輝かせていていい存在感をかもしだしていた。彼以外の役者もなかなか素晴らしい。おお、村上淳がすげーうまくピアノ弾いてる! 
 この作品はラスト近く、ラッキー・ストライカーズが演奏する「OUT OF THIS WORLD」につきると思う。“武器を楽器にもちかえたとき、憎しみが和解にかわる そんなことを信じてこの映画を作りました”と坂本順治はパンフレットに言葉を寄せているが、そんな監督の志のたかさが、この場面に結実している。たとえ、セットが大変よくできているとはいえ所詮作り物で本物にみえなくても、 前田亜季をはじめとする女性の描き方につっこみが足りなくても、 私はこの「OUT OF THIS WORLD」の演奏に監督と役者の思いが一つになったのを感じて、泣けてしまった。