「アクセス」(誉田哲也/新潮社)(映画「着信アリ」の内容に触れています)

着信アリ」ってヒットしているんだろうか? 私は、伊丹TOHOシネプレックスで観たのだが、初回割引日だったにもかかわらず客は5人ほどだった。で、この映画については、先日感想も書いたのだが、途中で、“なぜ携帯なのか?”という謎が放棄されてしまって、後半は完全にお化け屋敷状態という普通のホラーになってしまい、こんなのありかよと思わせるものであったが、こちら、第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作「アクセス」は、「着信アリ」で欲求不満状態になったかたにお薦めの作品である。
 基本料金、通話料金もすべて無料の「2mb.net」というプロバイダに登録してから、奇怪な事件が次ぎ次ぎと高校生たちを襲うという話で、物語の面白さもさることながら、なぜ、ネットなのか、なぜパソコンなのかというあたりが、明確に解明されている。こんなうそ臭いプロバイダにひっかかるものか、とも思うが、この仕組みは実に巧妙で、アドレスにアクセスして、性別、生年月日、住所、希望IDを登録し一旦、仮契約をする。そして、もう一人を紹介して、登録させれば、自分の本契約がスタートするという仕組みで、非常に親しい友人から、声をかけられれば、うさんくさいと思いながらもつい、契約してしまいそうだ。 自分自身にも身近にありえること、というのが、ホラーものにとっては必要なんだと思う。物語の受けてはいつでも自分の身にもありえることをどこかで期待していたりするものだ。
 後半は結構奇想天外な話になっていくのだが、骨組みがしっかりしているので納得して読めるし、なぜ、そんなことがネットでおこるのかというあたりもしっかり書けている。
 ただ、ヒロインがいくら美人で魅力的と書かれていても、援助交際して愛人契約結んで、その金で着飾ってるなんて、そんなのちっとも魅力的でないよと思っていると・…ここからは書くのやめとこう。