「座頭市」

祝「座頭市」大ヒット!とにかく映画館の込み方が半端ではありません。これから観に行こうと思っている方は、早めに指定席を確保しておくのが、賢明かと。
で、この作品、たけしの殺陣とラスト数十分にやられた。冒頭、杖を奪われたはずの座頭市は目にも見えぬ早業で杖を奪い返し、次の瞬間、もう敵は切られて絶命している。文字通りの瞬殺。刀の冷たいきらめきが見えたと思ったら、それは敵の体を貫いていて、テレビの時代劇の殺陣シーンに喝を入れるがごとく、血しぶきが飛び散る。圧倒的な強さ。浅野忠信扮する服部源之助との対決の短さは、例えば、「BROTHER」で、ラストの、BAR(?)の前にギャングが乗り付け、ライフルで撃ちまくるシーンをあえて(絵になるはずの)ギャングを映さずにドアに無数の穴が開いていくことで表現したのと相通ずる“はずしかた”で、これが実にかっこいいのだ。
回想シーンは「DOLLS」に比べてもあまりうまくいってない感じがするのと、中盤だれてしまう感はがあるのだけど、ラストの踊りのシーンが圧巻!タップを使った踊りのシーンで主な登場人物が加わり、途中、子役にかわるところなど、舞台のフィナーレみたい(「BROTHER」のパンフで、オマー・エプスが“タケシの現場は〈舞台劇)と語っていたなあ)。ラストショットも面白い。
 また、印象的だったのが、冒頭、抜いた刀がとなりの仲間にあたってしまうところ、他にも夜道で座頭市に剣をまっぷたつにされた侍が驚いて刀を動かして親分(?)を切りそうになる場面。全部で三箇所こういうシーンがあったと記憶する。「HERO」で、無数の矢を放つシーンをみながら、ほんとなら絶対何本かはミスで前の兵隊にささるよな、なんてことを考えていた私にはとてもリアルでよかった。