劇団シニアグラフィティ旗揚げ公演のDVDを観て第四回公演「横須賀ストーリー」に想いをはせる。

十年記念隊シングルV発売にあわせて、小春を主人公にした朝家(あさけ)五姉妹物語を想像、妄想していたのだが、なんだかんだで更新しそこなっているうちに時期を逸したようです。ははははは。小春というとわたしなんぞは陳小春(チャン・シウチョン)を真っ先に思い出すわけですが。
実は十年記念隊のシングルVも後藤さんの「G−emotion」も発売日に買うだけ買ってまだみることが出来ていません(涙)。なんだかんだで小ぜわしい日々を送っていて、すっかりハロプロの情報にも疎くなってしまってます。そんな中で唯一観たものが、これ!
2006劇団シニアグラフィティ旗揚げ公演「昭和歌謡シアター終着駅」のDVD。このお芝居は確か発表当時、ごっちんが出演するというようなガセネタが某チャンであったりして、私は頼むからやめてちょうだいなどと思っていたものでした。この企画自体面白そうなものに思えないし、そんなものに出演する時間があればもっと他の仕事をして欲しいなどと勝手なことを考えていたほどです。
ですが、このDVDを貸していただく機会があり、観てみるとこれが思いのほか面白かったのでした。
時は昭和40年代。「終着駅」というショーパブがありました。そこでは若者たちが未来のスターを目指して切磋琢磨しておりました。しかし、そのショーパブも時代の波におされて姿を消し、閉店してから25年。かつて「終着駅」で働いていた人々のもとに一通の手紙が届きます。それは山根啓子という歌がとても上手だった女性からの同窓会の誘いの手紙でした。
物語は現代と昭和40年代をいったりきたりしながら進行します。昭和40年代の部分は人々の追想という形で描かれるのですが、そこにまだしかけが少しあって、稲葉のあっちゅんが現代の方のお店(スナック「終着駅」)のウエイトレスをしているのですが(そして彼女だけが昔の関係者ではない)、未来や過去が見えたり行き来できたりという不思議な力を持っているというものです。そういう面をもたせることで過去と現在が交錯する様子をスムーズにさせ、うまく舞台をまわしていくのです。
さて、同窓会という形で過去の知人たちが集まってくるのですが、やがてそれは過去の懺悔大会へと進行していきます。柴ちゃん扮する歌手志望だった女性は自分自身の進路がうまくいかないいらいらのあまり、啓子さんに届いた採用通知を破いてしまったという過去がありました。柴ちゃんはこの勝気なちょっと黒い役の女性を堂々と演じており、なかなかよかったです。25年後の中年女性の雰囲気もうまく出していたといえましょう。
啓子さんは既になくなっており、手紙を書いたのは啓子さんの娘さんでした。母がこの「終着駅」でどのような青春時代を送ったのかをしりたかったというのです。懺悔大会は続きます。そのへんの展開を見ていたら、最近読んだ「夜の来訪者」(プリーストリー作・安藤貞雄 訳・岩波文庫)を思い出さずにはいられなくなってしまいました。
この「夜の来訪者」は戯曲で映画化もされている有名な作品です。ある裕福な家庭に刑事と名乗る男がやってきます。そして一人の女性が悲惨な死に方をしたことを告げ、家族一人ひとりを告発していくというストーリーです。それぞれがしたことは一つ一つをあげれば大きな罪ではないのかもしれませんが、それが重なっていくことで一人の女性を死にいたらしめることがあるという物語でした。
そんな作品が浮かんできてしまったこともあり、おいおい、君たち、ひどいじゃないの、と思ってみていると、啓子さんの娘さんは天使のような人でそれでも母は幸せだったと思います、と懺悔する人々に語ってみせるのです。どうも最後の方は時間の関係でばたばたとはしょってしまった感がありありで、私が啓子さんの娘なら寧ろ落ち込むよなぁと多少納得できない部分があったのですがそれもラストを見てちょっと考えが変わったのでした。
過去のショーをもう一度再現してみせたショーパブ「終着駅」の面々は、それぞれの人生を背負いながらまたそれぞれの道に戻っていきます。そして最後にマスターは「啓子ちゃん、歌ってよ。“終着駅”を」といい、最後に啓子さんとその娘に扮した石原詢子が「終着駅」というヒット歌謡曲を歌って幕が閉じます(最後まで書いちゃったよ)。
で、私は思ったのでした。この最後に歌ったのは、啓子さんの面影のある娘さんではなくて啓子さん自身ではなかったのかと。そうなると娘と名乗っていた女性は最初から故・啓子さんではなかったのかと。そうした想像をかきたてるのは過去と未来を行き来できる女性として稲葉あっちゅんというキャラクターが設定されているがゆえです。
いわばこの舞台は過去と未来が思い出以外にもどこかでつながっていて、死者である啓子さんが今を生きている人々の自責の念をやわらげるためにやってきたのかもしれない、などとそんなことまで考えてしまったのでした。
まぁ、これはいささか考えすぎなのかもしれませんが、いずれにせよ、この舞台、歌あり、笑いあり、涙あり、ダンスあり、ダサさきわまる部分もあり、と十分楽しめるものであり、ここに後藤さんが出ていたらファンとしては十分すぎるくらいに楽しいものだろうなと思えてきたのでした。
そう、4月にごっちんがこの劇団シニアグラフィティ公演に出演するのです! 先だってのメロンさんとのハロ☆プロオンステージ!に行けなかったことに私は非常に悔しい思いをしましたが、このグラフィティに関してはまぁこれはいいか、(どっちにしろ東京公演だけなので見られないことに変わりはないので)ある意味気楽に見送れるなと思っていたのです。でも今は観たくてたまりません。なんせ今回後藤さんは主役だそうですし、思えば、私の後藤真希現場初体験はミュージカル「けんとメリーのメリケン粉オンステージ」だったのです! で、後藤さんが意外と昭和40年代が似合うことをもう既に我々は知っている!
ああ、観に行きたい! でも無理、ああ観に行きたい! でも到底無理である、ああ〜〜〜観に行きたい! ああ〜〜〜〜とまたまた「Rockですよ!」と同じ状態になっている今日この頃です。
物理的に行けそうな方は是非行くといいと思うの。

●2007 劇団シニア グラフィティ第4回公演昭和歌謡シアター横須賀ストーリー

時代は昭和・・・
漫才コンビ『サンセットボーイズ』の早瀬には双子の女の子の赤ちゃんがいた。
しかし、妻が亡くなり男手ひとつで二人の子供を育てていくのは無理だと途方に暮れた。
そして相方の坂崎に泣きつき双子の妹だけでも引き取ってくれと頼み込む。
その上坂崎の名義で借金してしまった事を告白する。
あきれ返る坂崎は一人の子供と借金を引き受ける事を了承し、その代わりコンビは解消し、芸能界から足を洗うことを告げる。
その後、成長した双子の姉は人気歌手になり、そして妹は・・・?

昭和の芸能界を舞台に親子の絆を描く、笑いと涙のエンターテイメントコメディ。
後藤真希が双子の女の子の二役を演じ座長をつとめる。
http://www.gekidan-online.com/news/33.php

うわっ! 面白そう…