CD「恋☆カナ」/月島きらりstarring久住小春(モーニング娘。)

モーニング娘。の「色っぽい じれったい」のC/W曲「愛と太陽に包まれて」で自分が一番気に入った箇所の歌唱を担当していたのが(あ、すいません、つい後藤さん並の洒落をw)久住小春さんと知ってから、私は彼女を密かにリスペクトしていた。月島きらりstarring久住小春モーニング娘。)の「恋☆カナ」を手にすることになったのは、必然的なことだったのかもしれない。
さらっと聴いた感じでは小さな女の子たちが観るアニメの主題歌に相応しいアイドル楽曲の王道という感じで、それ以上でもそれ以下でもないような感じがするのだけれど、聴きこんでいけば行くほどに、そのストレートな素直さがきらきらと輝きを増して、うきうきとした幸福感と、ちょっぴりセンチな感傷までをも聞き手に運んでてくる。
ストレートな素直さというのは、勿論、楽曲そのものの特徴のことであり、小春の歌唱のことでもある。「恋☆カナ」は、作詞:古屋真、作詞:織田哲郎といった、いつものハロー!のつんく♂作品ではなくて、つんくならわざとはずしたり、はずすふりをしてど真ん中を選んだりして楽曲を作るところ、ここでは、ただひたすらに154キロの直球を投げ込む藤川球児のごとく無心な世界が展開される。
だから、アイドルの王道曲といっても、それが、80年代的と例えるものだったり、過去の歌い手を引き合いに出したくなるものではなく、’00年代のアイドル小春に相応しい同時代性を確かに伴っていて、とても初々しい、いろんな意味での爽やかさが立ち込めているように思えてならない。
それは、C/Wの「SUGAO-flavor」にも言えて、ミディアムテンポの愛らしい曲なのだが、“大人になるのは遠くないけれど 今はこのままでゆびの先だけ ギュっとしててもいいかな?”というフレーズに思わず胸がきゅんとなってしまう。胸がキュンなんて、いい年をしてなにを言っておるかとお叱りをうけそうだが、今の、十代の歌い手である彼女たちを取り巻く世界というのは、実際のところ、少女でありながら、大人であることを要求されたり、期待されたり、必然的に大人になってしまうほど、世間の少女たち以上に早い時間を駆け抜けていくものであり、そんな環境の中で、あえて、“大人になるのは遠くないけれど 今はこのままでゆびの先だけ ギュっとしててもいいかな?”と立ち止まろうとするその意思を大いに評価したいと思う。
このようなソロデビュー曲に出逢えた小春という歌い手はとても幸せな歌い手ではないだろうか??
これからも等身大の歌を素直に歌いつづけていってほしいと切に思う。