『Get Lifted』(John Legend)


今をときめく名プロデューサー、カニエ・ウエスト(JAY−Zやブリトニーらを手がける人気プロデューサー)が立ち上げたレーベル、“GETTING OUT OUR PREAM"の第一弾John Legendのデビューアルバム。ジョン・レジェンドはシンガーであり、ソングライターでありキーボードプレーヤーで、カニエ自身がシンガーとして発表した大ヒットアルバム「ザ・カレッジ・ドロップアウト」やアリシア・キーズ、JAY-Zらのアルバムにプレーヤーとして参加していた注目のアーティスト。ちょっとブルースっぽかったりJAZZっぽいスローな出だしから急にがらっと曲調を変える一曲目の「Prelude」から思わず聞き入ってしまう。どっちかというと今風のHIP HOPとか、R&Bよりはやや地味目で、ジャケットの写真などもセピアカラーの落ち着いた風貌で知的な感じのジョン・レジェンドが写っているし、全体的に落ち着いた大人な雰囲気の一枚。シングルでリリースされた3曲目の「Used To Love U」のPVも観たんだけど、舞台は教会で、そこでオルガン(?)を弾いてるジョン・レジェンドが、やがて自分の仕事を放棄して、聖歌隊の前に出てきて気持ちよく歌うという内容なんだけど、見た目、ちょっとやっぱり地味な印象があって、特別出演(?)のカニエ・ウエストのほうがやっぱりインパクトが強かったりする。でも地味な分、なんていうか本当に歌で勝負しているというか、ぎらぎらした新しさの代わりに、古きよき時代のソウルの雰囲気を持っていて最近のブラック・ミュージックにぴんと来ない人にも親近感がもてるようなそんな感じ。
そもそもカニエ・ウエストは、往年のソウルミュージックをサンプリングしたトラックを得意とする人で、このアルバムもそういうサンプリングがあるらしいのだが(そのへんは詳しくはわかならいんだけど)、とりわけ、アルバム最後を飾る14曲目の「ザ・デルズ」と「ドラマティクス」の往年の共演曲をサンプリングした「Live It Up」が滅茶苦茶かっこいい! 古さと新しさが絶妙に融合したこのアルバムは、今一度ブラック・ミュージックをきちんと聴きたいなあと思っていた自分にとっては絶妙なめぐり合わせだったようで。私はHMVで輸入盤を買ったけど、日本盤も出ているらしいよ。