「青い車」


青い車」っていったら、まずやっぱりスピッツの「君の青い車で海へ行こう〜♪」を思い出す。よしもとよしともの原作コミックも、青い車で海へ行く話しだし。もっとも、原作の方では、リチオが、車の中で小沢健二の「LIFE」をかけてるけど。映画「青い車」は、やっぱり青い車で海へ行く話しだけど、スピッツでもない、小沢健二でもない、曽我部恵一の「青い車」だ。今、サントラをずっと聴いてるけど、これ、ほんとかっこいい。
ARATA扮するリチオと麻生久美子がちょっとシリアスな会話をするシーン。二人の話はすれ違い、「そうじゃないだろう」「そうじゃないでしょう」という言葉が交わされる。じゃあどうなんだという話しに展開することはない。
自分の望んでいた言葉じゃないから、自分が言って欲しい言葉じゃないから。本当に言いたい事には口をつぐみ。でももしかしたら「そうじゃないだろう」のあとに言葉を続けられないのは、そのあとに語る言葉がわからないからなのかもしれない。
で、逆に言わなくてもいいこと言ってしまって後悔している宮崎あおい。そんな彼女を励ますARATA,その言葉のなんとうそ臭いこと。みんなこんなふうに適当なことをいって、本当に言わねばならないことに口をつぐんで、なんとかやりすごしているんだ。クールな映像で、ちょっと冷たいトーンで映画はそんなふうに語っているように思った。だから、ラスト、赤い花束が青い車の後部座席にそっと置かれている理由も映画は語ったりしない。原作には花束を投げなかった理由がちゃんと描かれているんだけどね。