ドラマ「めだか」

もしも自分がまだ若く、これからの自分の進むべき道を考えている時期にドラマ「ビギナー」を見たら、弁護士になろうと思ってたかもしれない。あるいは「めだか」を見て、教師もいいなあ〜なんて思ったかもしれない。まあ、実際のところは、怠け者なので、思いはしても、無理だろうなと一瞬で諦めてしまうのがおちだろうけど。でも「ビギナー」にしても「めだか」にしても、なんだか、いいなあ、なんか大変そうだけど、やりがいがありそう、こういう世界もいいな〜と思わせるきらきらしたものが確かにあった。登場人物が実にいきいきしていた。そして、どちらも(私の記憶する限りでは)主演女優のミムラの満面の笑みのクローズアップで終わっていて、それを観ている人々もその笑顔につられて微笑んでしまった人も多かったんじゃないかと思う。弁護士や教師をとりあげたドラマは少なくないというのに、なってみたいなと思わせるドラマはそうないんじゃないか?!
にしてもミムラって不思議な人だ。決して美人じゃないけど、血色のいい顔色のせいか、みていてなんだかほこほこ温かい感じがする。これほどくしゃくしゃの笑顔が似合う人も珍しい。これこそ、ハリウッドが言うところの“ファニーフェィス”じゃないの? キャサリン・ヘップバーンとかそういう系列のコメディエンヌといったところか。
さて、「めだか」。今クール唯一ちゃんと見ていたドラマ。2度ほど見るの忘れた回もありましたが・・・。なにやっても駄目なめだかこと目黒たかこ(ミムラ)が、定時制の高校のクラス担任になり、一生懸命に行動して、やがてクラスメートや同僚の先生の心をつかんでいくという、まあ、ごくごく普通の設定のドラマなのだが、一番盛り上がりそうな場面をわざとさらっと流したりというちょっと憎い演出もあったりして、ありがちな作品のわりにべたでない、いい出来の仕上がりになっていた。たとえば、親が借金を重ねて学校を続けられそうにない生徒のために奨学金を申請するエピソードでは、学園の事務局が、保護者の要請がないのにとしぶっているところを椎名先生(原田泰造)が、ばんと机を叩いて、「本人が学びたがっているんですよ!」と力説する場面があるんだけど、本来なら熱のこもったクライマックス的演出が出来るところを、椎名先生は、いつものキャラクターどおり、たんたんと意見を述べるだけ。でもそのたんたんさが、逆に胸を打つ(ここでの原田泰造は、いつものはっちゃけぶりとは違って映画「ジャンプ」を思い出させる演技をみせる。さすが日本のジム・キャリー)。また、生徒同士で惹かれあう男女をくっつけようとミムラが余計なおせっかいをする回では、そのおせっかいは完全にからまわりしたあげく、当の男女は、実に拍子抜けする感じでプロポーズしてされてという場面が展開し、そのあっさり具合が最高だった。ほんと皆の前で「オレと結婚してくれ〜」って叫んで皆が拍手〜!なんて展開は絶対ない作品でそこが素晴らしかったね。