ドラマ「オレンジデイズ」

柴咲コウ演じる聴覚障害を抱える沙絵の描き方が実に丁寧で、柴咲コウの熱演もあって、見ごたえがあった。二回目にしてドラマ全体のいい雰囲気が出てきてるように思う。
 前回の感想に書いたように、沙絵というキャラクターは、障害のある人=無垢な存在というステレオタイプを打ち破ろうとしたキャラクター設定がなされていて、とんでもない下ネタを初対面の人に披露するようなちょっとかわったキャラとして描かれている。今回も、“障害をのりこえて”(だったかな?)という題目で、話をするように言われて、観衆の前で悪態をつくシーンなどが描かれるけれど、単に無垢な存在を打ち破ろうとするためだけに、設定されたエキセントリックな役というわけでは決してない。例えば、今回のメインエピソードは、沙絵が売ってしまったヴァイオリンを取り戻すというもので、妻夫木君扮する櫂が、協力してくれた相田翔平(成宮寛貴)矢嶋啓太(瑛太)にお礼を言ってくれるように沙絵に頼むシーンで、「お願いだから、余計なお世話よと言って、ヴァイオリン投げつけるのだけはやめて」と手話で語るシーンが面白かった。へたな脚本なら間違いなくやってるだろう。予想に反して(?)沙絵はちゃんとお礼を手話で語って、頭を下げる。ちょうど、このドラマの登場人物たちが“あ〜この子はこんな感じなんだな”と発見していくのと同じように、観ている方も、沙絵の内面に徐々に触れていくという感じか。
 そのほかには、小西真奈美扮する高木真帆が沙絵にとる行動が、彼女にとっては正しいと思う善意の行動でも、沙絵にとっては重荷でしかないという描写は、興味深かった。しかも真帆はいわゆる福祉の専門家なんだけど、なぜ沙絵が、反発するのかを全然わかってないわけで、セオリーどおりでしか行動できない、インテリの弱さみたいなのが描かれているなと思った。