「ラブストーリー」(ねたばれ含む)

大傑作韓国映画猟奇的な彼女」のクァク・ジョエン監督の最新作。原題が「THE CLASSIC」というだけあって、往年のメロドラマの傑作群をいくつも思い出させるほど、ごれでもかこれでもかと泣かせるエピソードを積み重ねてくる。コメディだった「猟奇的な彼女」とはがらりと趣きを変えた感じがするけれど、「猟奇的な彼女」と言う作品自体、実はものすごくメロドラマ的要素を含んだ作品だった。なにしろ、メロドラマの典型ともいうべき、“すれ違い”が随所に織り込まれていて、地下鉄のエスカレーターでのすれ違いや、列車での別れのシーンでの飛び乗りと飛び降りでのすれ違い、思いをよせている男女が、ごく近くにいながら認識できないというラスト近くの地下鉄シーン。DVDについている特典映像の未公開シーンにもすれ違いの場面があった。クァク:ジョエン監督は、そのメロドラマ的要素を拡大した映画を作ろうと「ラブ・ストーリー」に臨んだのかもしれない。
 「ラブストーリー」は、“メロドラマ”のこれまた典型ともいうべき、“身分違いの恋”のバリエーションである“親に認められない恋人たち”の悲恋がテーマとなっている。ジュヒ(ソン・イエジンニ)の屋敷は、階段を何段か上った先に玄関のある造りになっていて、オジュナ(チョ・スンウ)は、彼女を誘うのに、見上げて外灯の電気をつけたり消したりする。それは、まさにあの有名な古典を連想させるものだ。思えば、オジュナは、いつもジュヒを見上げている。ふんころがしを探していた彼が、ジュヒを認める時もそうだったし、ちょっとした冒険が、オトナたちを心配させて離れ離れになっていた二人が学校の講堂で再開する時も、ジュヒは、壇上にいて、オジュナは彼女を見上げて微笑んでいる。このベタな作品が魅力に溢れている原因のひとつに、この見上げるオジュナの笑顔があげられるだろう。彼の笑顔。それだけで、ヒロイン、ジュナの表情がみるみる幸せそうになっていく様が観ている者を魅了する。
 この物語は、恋に悩む女子大生が、35年前の母あての手紙と日記帳を発見し、母の初恋を知ることとなるという設定で、女子大生とその母をソン・イエジンジが、二役で演じている。女子大生(ジュヒの娘のジヘ)自身も恋をしているのだが、この描き方も非常に好ましい。特に画面が右へ右へ移動していく美術館のシーン。展示物の間、間に男女がかわす視線が素晴らしい。さらに、雨の中、憧れの先輩と、走りながら見せるジヘの至福の表情にすっかりまいってしまった。(ソン・イエジンニは笑顔がちょっと酒井和歌子の若かりし頃を思い出させる)。ラストの二世代に渡る恋がリンクしていく様子には素直に泣けるのだった。
 美術館のシーンで流れている楽曲がとても気に入ってしまいました。「猟奇的な彼女」のサントラは買ったので、これも買いか!?
http://d.hatena.ne.jp/yasai/20040124#1074914821 これは面白そう。いつか書かせていただきたい。
勝地涼で検索されてくるかたがたまにいらっしゃいますが、はてなキーワードにはなってないんですかね。ごっちん出演のドラマ「マリア」でごっちんの恋人役だったというのは、ほんとですか。あの時は、ヲタでなかったので、見逃してるし、この作品、ビデオ屋においてないし・・・。