「文藝」春号“行定勲”特集

先日関西ローカルの某テレビ番組を観ていたら、綾瀬はるかの紹介をやっていて、デビュー作としてオムニバス映画「Jam Film」の一本として撮られた行定勲監督のショートフィルム「JUSTICE」の一場面がうつされていた。ブルマー姿の綾瀬がハードルをしているシーン。スタジオの面々はこの映画を観たことがなさそうだったのだが、その中で、「ブルマーの色がいろいろあるのね」といった発言がなされていた。おー!これは非常に鋭い視点である。なにしろ、この作品は、じっさい、妻夫木聡が授業中に校庭を見て、体育の授業をしている女子のブルマーを色別に数えて、でれでれしているという短編だからである。このオムニバス作品の中で一番私が好きな作品だ。
 そのショートフィルムを集めたオムニバス映画の第2弾がどうやら作られるようで、行定監督は再び綾瀬はるかを使うらしい。岩井俊二の広末、犬童一心池脇千鶴ときて、行定勲のミューズは綾瀬になっていくんだろうか?
 以前、私は後藤真希が、才能ある若手監督と組んで欲しいというようなことを書いた事があるのだけれど、その第一希望が行定監督なのだよねー。ほんとうにいつか一緒に仕事してくれないかなあ。つんく♂のおもいつきだけの映画はそろそろ終止符をうってもらいたい。そう、氏には音楽に専念していただきたいと思う。
 というわけで、文芸誌の「文藝」春号が、行定勲特集をやっていたので、即購入。そういえば、行定監督は「GO」や「ロックンロールミシン」など、日本の若手作家の作品の映画化が多い。公開を控えている「きょうのできごと」も文藝賞受賞作だし、今年になって突如ベストセラーになった「世界の中心で、愛をさけぶ」の監督も彼だ。インタビューの中で原作ものを映画化することへの苦労や葛藤、原作者たちとの関係などが具体的に語られていて非常に面白い。また、彼は吉田修一にも興味があるらしく、ならば、吉田の「WATER」っていう高校生の水泳部員を描いた短編を是非映画化してください〜!
 ロングインタビューのほかにも「GO」の脚本の宮藤官九郎との対談があり、「世界の中心で、〜」でヒロインを演じる柴崎コウインタビュー、「きょうのできごと」の原作者と出演している田中麗奈の往復書簡とか、もりだくさんの内容になっていて、映画ファンには読み応え充分の久しぶりに面白い一冊である。
 ところで、この中で「世界の中心で、愛をさけぶ」の制服姿の森山未來長澤まさみのスチール写真が2枚ほど載っていて、もうそれ見るだけで、傑作の予感が!