阿部和重はごま秋コンに参戦していた。

「文学界」11月号に、阿部和重が、映画評で「青春ばかちん料理塾」について書いていると聞いたので早速買ってきた。といっても、阿部氏に関しては「インディヴィジュアル・プロジェクション」の作者というぐらいの認識しかない。作品も読んでないし。しかし、読んでびっくり、阿部氏は、後藤ヲタでいらしたのだ。“映画覚書第14回”のタイトルは“後藤、石川、藤本、そして/あるいは永作”というもので、4ページにわたる批評の大部分は、黒沢清の「ドッペルゲンガー」にさかれているんだけど、批評の冒頭で、まず、後藤真希の秋のコンサートツアー「2003秋〜セクシー!マッキングGOLD〜」について触れ、氏自身、9月13日の東京厚生年金会館・大ホールでの夜公演をみたと記述している。そして、“ショー全体の演出においては、今や伝説と化した「6.8」の春コン夜公演と比べても引けを取らぬどころか、照明や衣裳や曲構成の面ではむしろ質的に上回っていたように思う”と感想がのべられている。なんか嬉しいね。こういう文章が一般誌に載るということは、今ごっちんサイドには一番必要なことなのかもしれない。ただ、「文学界」なんて、どれだけの人が読んでるかってなもんだけど。
 それでも、「キネ旬」をはじめとする映画ジャーナリズムから、みごとに無視された「青春ばかちん料理塾」「17才 旅立ちのふたり」が、
(映画ジャーナリズム自体がたいしたことないんだけど)こうしてきちんと批評されているのは、映画バカで後藤ヲタの私にとっては大変ありがたいことだ。
 最初、後藤真希とかかれていたのが、突如“ごっちん”になってる部分とかいいですね〜。あと、「青春ばかちん料理塾」に北野映画の引用があるっていう部分、以前私が、やっていたサイトで、「北野映画後藤真希の楽曲の法則」というのをお遊びで書いたことがあって(「手握」が出た時に、これは北野映画の「みんな〜やってるか!」と同じ位置付けにあたる、というあの可憐な楽曲と蝿男を一緒に論じるという無謀な行為)、おおっ!て感じでした。
 「プログラム・ピクチャーの醍醐味」として、「ばかちん料理塾」を肯定したあと、“とはいえ、そんな悠長なことも言っていられなくなったのは”と続け「17才 旅立ちの二人」が“紛れもない傑作”と批評をすすめる。この展開は、自分が9月26日に書いた感想の展開と同じだと思うんだけど、やっぱ、こんなふうには書けないなあ〜。
 一度読んでみようか。阿部和重。同士だし。