藍色夏恋(ネタバレ注意)

台湾映画「藍色夏恋」(http://www.natsukoi.net/)を観てきました。映画の中の自転車がつくづく好きなんだなあ、自分、と思ってしまった。逆に言えば、自転車を上手く撮れている映画は素晴らしいってことだ。「青春ばかちん料理塾」でも、ごっちんが自転車に乗るシーンがあればなあ…。いい加減しつこいんでやめておこう。
 「藍色夏恋」の自転車のシーン。風をきったり、じゃれるように抜いたり、抜かれたり、ある時は不安げに止まり、あるときは、どうしようもない気持ちをかかえて疾走する。少年の特徴的なシャツを風になびかせる。予期せぬ出会いを導く。
藍色夏恋」は、17才の高校生の一夏の切ない恋物語だ。カメラがひきでとらえている場面が素晴らしい。モンとチャンが校内放送で呼び出され、まずモンが、廊下を急いで歩いていると、カメラが下の階で同じように急いでいるチャンをとらえる。合流した彼等は誰かに指示を受けている。いたずらで、ラブレターが床にはられていて、はがすようにということだったようで、モンは怒りをおさえながら、はがし始め、やがて足を使って、けり始める。同じようにチャンがけり始め、はたからみていると、ふざけているような仲のいい調子にみえてくるのである。二人の微妙な関係を象徴するようなシーンになっている。体育館で二人が押し合う場面はやがて激しさを増していき、せつない心がいたいたしくて胸に響く。
 ヒロイン役のグイ・ルンメイは、モーニング娘。紺野あさ美にちょっと似てるかな。彼女の親友役のリャン・シューホイは、女の子独特のやな性格をうまく表現していたと思う。
 いや、それにしても、チャン・シーハオ(チェン・ボーリン)のなんと魅力的なこと! 自分がもてる男だということを自覚している自信のある少年をこれほど嫌味なく演じられる人はそういないだろう。明るくて、元気で、その上真摯で、うぶで、最近ちょっとない正統派のかっこいい奴。映画を観た人なら誰もが、彼を好きになっているだろう。
 今、日本の役者でこのキャラクターに該当する人を思い浮かべると…よっすぃーとか、よっすぃーとか、よっすぃーとか(いやいや、岡女の影響受けすぎ)、いや、ほんと男優ではちょっとおもいつかないよ。