「28日後」(おもいっきしねたバレしてますんで注意!)

イギリスはケンブリッジ霊長類研究所のウイルスにかかった猿が発端となり、感染は瞬く間にイギリス中に広がる。感染者たちの血や、体液が体内にはいると怒りに取り憑かれ、凶暴化し、親子だろうが、兄弟姉妹だろうが、10秒以内に殺してしまわなければ自分が襲われるのだ。感染を恐れた多くのイギリス人は、国外に脱出。静まり返った街中で、交通事故で意識を失って入院していたジムは目覚める。人っ子一人いない街にとまどいながら、教会にはいると、そこには無数の死体が。おそる、おそる、「Hello!」と声を出すと感染者たちが顔を上げた…。
とまあ、ホラー仕立ての本作ですが、感染者(いわばゾンビ)自体はあまりこわくない。むしろ、こわいのは、後半でてくる逃げ遅れた軍隊の方で、あきらかに将校は精神に異常をきたしている。ホラー映画観るたび、本当に怖いのは人間だなといつも思ってしまうんだけど、今回も例外ではない。昔の貴族のマナーハウスという雰囲気バツグンの場所で気が狂っている銃を持つ人間に囲われるそのこと自体がひたすらこわい。
しかし、本作も、ダニー・ボイルがこれまで描いてきた作品と同様、どうしようもないどつぼの環境の中で、それでもしたたかに半ば幸運に生き延びていくたくましい人間が描かれている。「シャロウ・グレイブ」では、欲をむき出した男女の駆け引きの中、主人公は死の淵からたくましく立ち上がり、げらげらと笑い出す。「トレインスポッティング」では、麻薬中毒で、暴力に支配されためちゃくちゃ意志の弱い主人公がまんまとうらをかいて揚々としたラストをむかえる。最低なんだけど、最高の気分、っていうのを描かせたら右にでるものがない、それがダニー・ボイルだ!
 「生きろ!」それがダニー・ボイルのメッセージだ。
本当なら、「HELP」と書くであろう文字を主人公たちは、「Hello」と書く。ハロプロファンは是非みるべし!(ん?)