「ナイン・ソウルズ」(おもいっきしねたバレしてますので注意!)

あやや表紙の「KANSAI Walker」を買って(ごっちんのインタビューも載ってた。ハロプロ運動会では跳び箱が一番やりたいんだとか)、映画欄をパラパラ見ていたら、豊田利晃監督の「ナイン・ソウルズ」の上映がテアトル梅田で始まっているのに気づく。来週は、もう一回「青春ばかちん料理塾」を観る予定だし(前売りがまだ一枚あるんで)「偶然にも最悪な〜」も観たいしでいけるかどうかわからないので、急遽、テアトル梅田に走る。
 刑務所の同部屋9人が、たまたま鼠が出入りする穴をみつけ、脱走することに成功、囚人服姿で9人が坂を降りてくるシーンがストップモーションになって、それぞれの名前と罪名と刑期が挿入される。もっとも、ここでは、画面も暗く、顔も覚えにくいので、一度に把握はできない。が、それは、彼等の逃亡の道中で、だんだん明らかになっていく。
 ひっさしぶりに滅び行く男の美学を観た感じだ。そう、アロン・ドロンらの、フランス産フィルム・ノワールを昔よくテレビで見たけれど、ニヒルに戦う男の映画の結末は、最後は必ず死ぬ!というものだった。「ナイン・ソウルズ」の9人は、どうしても脱走したくてしたわけではないんだけれど、結局、この機会に望みを果たせるのは、マメ山田の扮する白鳥だけだ。監督自身はパンフの中のインタビューで、“そこに美学なんて存在しない”と語っているから、彼等の死をかっこいいと捉えるのは間違ってるかもしれない。“人生はやり直せない”とでもいう、ニヒリズムと捉えるのが正しいのかもしれないけれど…。滅び行く彼等はやっぱりぶざまでかっこいい!
 原田芳雄が相変わらず素晴らしい。いばってるおやじってだけじゃなく、貫禄はあるわ、なんともいえぬねちっこさがあるわ、はちゃめちゃに脱線していくコミカルさもあって、そして、なんといったってここでは「父」である。
時間に遅れることを極度に嫌い、遅れた人間は置いていこうとしていた原田が、最後にじっくり待ってやるところには泣けた。しかもクラクションならして、迎えに行ってやるのである。青空と雲をとまなって!