吉田修一「日曜日たち」(講談社)

読了。あっという間に読めるという点では、まさに今時のJ文学。なんだけど、読みたいと思うJ文学がほとんどない中、吉田作品だけは、まめに読んでいる。芥川賞をとった「パークライフ」だけは、購入したにもかかわらず、なぜか読みそびれているのだが…。
「日曜日たち」は、一見短編集のような体裁なんだけど、5つの全ての話に家出してきたらしい兄弟がからんできて、最終的に全ての話がつながっているという連作長篇になっている。5つの話に出てくる人物はみな、20代後半から30代半ばの人物で皆が7〜8年前に出会ったその子どもたちのことをふと思い出すという設定になっている。物語は、それぞれのその7〜8年の人生の変化を描いていて、激的にかわった人生
はないんだけど、どっぷりとその人生に付き合わされて、なんだか妙に心かき乱されてしまった。読み終えた最後にその子どもたちの今が描かれ、2度3度と振り返って読み直したい気分にさせる。中に、人から、“あなたはなにか一つでも最後までやり通したことがあるか”と尋ねられて、あの兄弟のことに関してだけはやりとおすことが出来たと考える人物がでてくるのだが、最後まで読み通した読者は、結局、その人物はいつも詰めが甘いんだってことに気付くことになる。
つくづくうまい作家だと思う。


本日、テレビ大阪の徳光の番組にごっちん出演。「はじめてのおつかい」に出たときの感じかなと思ってたら、それよりは出番があり、かわいかったです。