ドラマ「光とともに…」

 春ドラは、当初観て、感想も書いてた「オレンジ・デイズ」などは何時の間にかみなくなってしまって、結局、面白いと思って観ているのはこのドラマだけになってしまった。本作のユニークなところは、光くんのことで一杯一杯になってる武田真治らに「この学校の生徒は光くんだけじゃないんですよ」と軽く言い放つ市川実日子というキャラクターの設定だったりするのだが、そもそもこのキャスティングだけでも、“自閉症児を扱った単なる感動もの”にはしないという意気込みがびんびん伝わってきて、ある意味「電池が切れるまで」とは対極にある作品のように思える。
 さて、昨日の放送は、光くんがいよいよ運動会に参加。なかなかゴールまで歩こうとしない光くんにクラスメートたちが、「光く〜ん!」と呼びかけて歩き出すというシーンが描かれていた。こういう場面をうそ臭いという人もいるかもしれないけれど、子どもってやっぱり根は純粋っていうのか、大人がちゃんと指導してやれば、本当に心からこういうことって出来るものなんだと思う。一方で、よそのクラスの子らが、光くんの真似をして笑っているシーンが出てきて、教育の難しさをリアルに感じさせられたりもする。
 光くんのほんの少しづつの成長が描かれて、みどころが沢山あるのだが、今回、一番印象に残ったのは、光くんのお母さん篠原涼子のお母さん(光君の祖母)が、「私たちは選ばれたのよ。自閉症児って、1000人に3人か4人っていうじゃない。わたしたちは、その中に選ばれたのよ」と明るく叫ぶシーン。内心は心配でならないのだけど、そんな自分の不安はみせず、娘を励ます母の思いやりに私なんぞもうじわ〜んときて拍手を送りたくなった。以前は理解がなかった父親かたの祖母も前向きにものを考えられるように変わっていっているし、この二人の祖母が非常に重要な役目を担っていて、この二人のお陰で篠原ママはとても助かっているのではないだろうか。
 私は常々、この少子化社会における、祖父母の役割というものに関心があるんだけど、子どもは少ない、大人は多い、という家族構成が今の子どもたちにあまりいい影響を与えていないのではないかと思っていたりもする。まあこのへんのことは、専門的な知識がないので踏み込まないけれど、もしも光くんの祖母が、いつまでも「どうしてうちじゃなければならなかったの」「なんで普通の子としての成長を楽しむことができないのか」なんてことを延々と愚痴る人だったら篠原ママは大変だと思うよ。また、こういう言い方はいけないのかもしれないけど、このドラマでは祖父が出てこないけど、頭の固い祖父がいたら、またこれは物凄く大変だったんじゃないだろうか?
 子育てにおいて母親が周りからプレッシャーをかけられることは、必要な部分もあるけど、そのために自分にも理想があるのに、そのプレッシャーのほうにあわせてしまい、過度に子どもを叱ったり、子どもにプレッシャーをかけてしまうということは往々にしてある。このドラマでは、それが一見ハイソな理想的な家庭に見える鈴木杏樹家にあてはまっていて、鈴木ママは夫との微妙な上下関係から子どもにプレッシャーをかけ続けてしまう。そんな彼女が、運動会でこけてしまった娘に対して憮然としている父親(自分の夫)に向かって「こけたことを叱ったりしたら許さないわよ」と初めて(であろう)自己主張をするシーンをみて物凄くスカッとした。
 小林聡美扮するりお先生がやめることもこれからの心配ごとだが、この校長先生(渡辺いっけい)が倒れちゃったのも心配である。又、人通りの少ないところで〜。
でもそれ以前に、校長先生って、公立校なら、3年くらいで交替してしまうわけで、今が理想だからといって、それが続くかというとこれがなかなか難しい。そんな理由から養護学校を選んだ井川遥(最初ね、この人どこかで観たことがあるけど、誰だっけ?って全然わからなかった。いつもと随分イメージが違うよね)も対比して描かれていて、本当に広い視野で作られたドラマだと関心するのである。